2001 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の生物時計とサーカディアンリズムの統御ネットワークの分子基盤
Project/Area Number |
13480226
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 猛 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10174038)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 寿美 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (30089859)
饗場 浩文 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (60211687)
|
Keywords | 高等植物 / シロイヌナズナ / 生物時計 / 形質転換植物 / サーカディアンリズム |
Research Abstract |
本研究課題の目的に沿って、高等植物・シロイヌナズナを対象として、植物の示す概日リズムに関連した諸現象を高次に制御すると思われる「生物時計」の分子的実体と「時を刻む」分子メカニズムを解明するための一連の研究を展開した。 我々の研究グループでは時計と実体と密接に関連して機能すると思われる5種類の遺伝子(APRR1、APRR3、APRR5、APRR7、APRR9)を同定し、それらが転写発現が興味深い様式で概日リズムを刻むことから、これら一連のよく似た遺伝子産物が「時を刻む」メカニズムと密接に関連して機能していることを示唆してきた。即ち、これらの遺伝子は規則正しい順番で2〜3時間おきに発現が上昇してくる(サーカディアンウエーブ5重奏)。更に、夜明けとともに最初に発現されるAPRR9は光による誘導発現を受けることもわかっている。今回は、まずAPRR9の光誘導生性に関して解析し、白色光のみならず赤色光により特異的誘導を受けることが明らかになり、光受容体の一つであるフィトクロームの支配下にあることが示唆された。次いで、最も最後に発現の上昇が(夕方ころに)みられるAPRR1に関してその過剰発現型の遺伝子を用いて形質転換植物を作成した。これらの変異植物体において、APRRシリーズを含む種々の時計関連及び時計の制御下にある遺伝子の発現様式を解析した。その結果、APRR1過剰発現植物体では、これらの遺伝子の発現リズムが顕著に乱れることが明らかとなった。また、APRR9の発現が抑制された。以上のことから、APRR1はサーカディアンウエーブ5重奏の維持と、他の時計関連遺伝子(CCA1)の示すサーカディアンリズムの維持に重要であると同時に、APRR9の発現に抑制的に働いていることが示唆された。また、CCA1過剰発現体におけるサーカディアンウエーブ5重奏の様相に関して解析したところ、この変異体においてもそのリズムが乱されることが明らかとなった。本年度得られた以上の結果は、APRR遺伝子群が「時を刻むメカニズム」と密接に関連しているという考えを強く支持するものである。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Makino, S.: "Light response of the circadian waves of the APRR1/TOC1 uintet : When does the quintet start singing rhythmically in Arabidopsis thaliana"Plant Cell Physiol.. 42. 334-339 (2001)
-
[Publications] Suzuki, T.: "Two-types of putative nuclear factors that physically interact with histidine-containing phosphotransfer(HPt)signal transducers implicated in His-to-Asp phosphorelay in Arabidopsis"Plant Cell Physiol.. 42. 37-45 (2001)
-
[Publications] Suzuki, T.: "The Arabidopsis sensor His-kinase,AHK4,can respond to cytokinin"Plant Cell Physiol.. 42. 107-113 (2001)
-
[Publications] Ueguchi, C.: "Novel family of sensor histidine kinase genes in Arabidopsis thaliana"Plant Cell Physiol.. 42. 231-235 (2001)
-
[Publications] Imamura, A.: "Cellular localization of the signaling components of Arabidopsis His-to-Asp phosphorelay"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 65. 2113-2117 (2001)
-
[Publications] Yamada, H.: "The Arabidopsis AHK4 histidine kinase is a cytokinin-binding receptor that transduses cytokinin signals across the membrane"Plant Cell Physiol.. 42. 1017-1023 (2001)