2001 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達機能に基づいたPET診断法新技術の実用化
Project/Area Number |
13557074
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープ センター, 教授 (80134063)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープ センター, 教授 (00125501)
岩田 錬 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60143038)
今堀 良夫 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (80191899)
加賀谷 豊 東北大学, 医学部, 助手 (90250779)
|
Keywords | PET画像診断 / 標識ジアシルグリセロール / 高次脳機能 / 腫瘍診断 / PLG活性評価 / PLD活性評価 / 心機能診断 / 損傷回復 |
Research Abstract |
本研究は、細胞内情報伝達機能画像診断薬として開発してきたポジトロン標識ジアシルグリセロールを高次脳機能診断・心機能診断・腫瘍診断への適用拡大を図り、それぞれの診断技術の高度化と実用化を目指すものである。本年度の研究においては刺激に対する早いレスポンスのPLC活性(C-11標識ジアシルグリセロール)と遅発性のPLD活性(F-18標識ジアシルグリセロール)との相違に注目して研究を進めた。 高次脳機能診断への適用拡大では脳損傷後の回復機構に対して、代償的回路形成の引き金となる増強現象は多数の連合野領域に存在したので、多くの脳損傷のPET症例から画像解析により検索した結果、右脳の前頭前野に安定したシステム回路の存在が示唆された。ラットを用いて実験的脳損傷モデルやLTP刺激で増強現象を再現し、C-11標識ジアシルグリセロールの集積は免疫組織染色および電気生理学的検索によってPKCgammaの活性化によることが確証された。今後これらの手法によって、増強現象と代償回路形成の誘導との関連を明確にする。 F-18標識ジアシルグリセロールの合成はオンライン合成に適する方法が開発され、培養神経細胞においてPLD活性を評価できた、腫瘍組織においてもPLD活性に基づいて集積することが明らかとなった。犬における自然発生の乳癌においてPET陽性画像が得られ、肺への転移診断も可能であった。心筋機能診断においてF-18標識ジアシルグリセロールの1位の炭素鎖を短く(C4)すると、イノシトールリン脂質代謝回転系の活性(PLC活性)に基づいて集積することが明らかとなり、虚血心筋の回復過程の評価への応用可能性が示唆された。 PET測定技術においては、特異結合を考慮に入れたコンパートメント解析を行い画像化する新プログラムを開発した。これはフィテングにSimulated annearing法を採用したものでモデルの初期値がはっきりしない新薬剤に対しても極値にとらわれることなく真の値を得ることが出来、放射性薬剤のモデル要素、たとえば結合強度の画像化などが可能となった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 今堀良夫: "癌における遺伝子発現の画像化 -ポジトロン標識アンチセンスによるテロメラーゼmRNAの生体画像化法-"癌の臨床. 47・1. 72-75 (2001)
-
[Publications] 今堀良夫, 辻野仁, 峯浦一喜, 近藤正樹, 河野寿, 竹内義博, 村上陳訓: "基底核機能障害におけるポジトロン標識フルオロドーパの臨床"Progress in Medicine. 21・8. 2021-2027 (2001)
-
[Publications] 笹島浩泰, 今堀良夫, 山中 巧, 峯浦一喜: "Bobble-head doll syndromeを呈した鞍上部くも膜嚢胞の1治験 -^<18>F-fluoro- dopa-PETによる基底核機能の評価"Progress in Medicine. 22・1. 248-253 (2002)
-
[Publications] T.Valdes-Gonzalez, Y.Morita, K.Suzuki, T.Ido: "Excitotoxicity induces changes in rat brain gangliosides"Neuroscience Research. 39. 197-203 (2001)
-
[Publications] T.Valdes-Gonzalez, J.Inagawa, T.Ido: "Neuropeptides interact with blycolipid receptors : A surface plasmon resonance study"Peptides. 22. 1099-1106 (2001)
-
[Publications] M.Chida, Y.Kagaya, S.Nagata, M.Mukoyoshi, S.Namiuchi, Y.Yamane, N.Ishide, J.Watanabe, T.Ido, et al.: "[^<18>F] labeled diacylglycerol analogueas a potential agent to trace myocardial phosphoinositide metabolism"Nuclear Medicine and Bioloby. 28. 815-819 (2001)