2001 Fiscal Year Annual Research Report
プロテストとヘゲモニーの文化的連関構造に関するアイコン分析と数理的定式化
Project/Area Number |
13610237
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
栗田 宣義 武蔵大学, 社会学部, 教授 (10205198)
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Keywords | ポップカルチャー / アイコン分析 / プロテスト / ヘゲモニー / コミュニケーション / 内容分析 / J-POP / 文化社会学 |
Research Abstract |
本研究課題「プロテストとヘゲモニーの文化的連関構造に関するアイコン分析と数理的定式化」の主たる目的は、現代市民に広範に受容されているポップカルチャー(popular culture)が提供するメッセージの分析手法の開発を通じて、日本社会における文化的連関構造とそこでのプロテストの可能性を経験的データに依拠しつつ数理的定式化を行なうことにある。研究は大別して二つの側面からなる。第一は、メッセージの(搬送手段としての)「キャリア」が運ぶ記号システムを(客観的、系統的、計量的という意味で)科学的に解析可能とする内容分析の技法の開発と精緻化である。ただし、それは、(書かれた文章など言説としての)「ロゴス」の解析を中軸とした従来型の内容分析ではなく、(絵、写真、動画など図像としての)「アイコン」の解析をも可能とする新しい内容分析、すなわち方法論としての「アイコン分析」の開発を意味している。第二は、アイコン分析を可能とするポップカルチャーに関するデータセットに基づく、現代日本における(特定の社会集団が他の集団に対して文化的チャンネルを通じて行使する権力とその帰結である支配としての)「ヘゲモニー」の文化的連関構造の解明である。これはポップカルチャーのキャリアが搬送する(虚像としての)「イメージ」は(現実社会たる)「リアリティ」と、ヘゲモニーのコンフィギュレーションにおいては相似型を保つという「ヘゲモニック・コミュニケーションの仮説」(栗田2000)を前提としている。 以上の認識に基づき、本年度は、研究の第一段階として、現代日本におけるポップカルチャー、具体的には、それが包含する価値と規範の多元結合構造が最も明示的かつ、当該社会において他の文化要素と較べて相対的に安定的な形態で再生産されうると理論的に想定される大衆音楽、つまりはJ-POPを中心とし、各種の映像・画像および娯楽メディアを周辺に配したドミナントカルチャーを、当該一年間において最も受容度の高く、かつ(典型的かつ代表的という意味で)「標準的な」(modal)なデータセットとして抽出・構築することにあてられ、それは一定の成果をえたといえよう。
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Research Products
(1 results)