2001 Fiscal Year Annual Research Report
明治維新と京都文化の変容―19世紀における「日本文化」の近代的再編・同質化
Project/Area Number |
13610381
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (30202146)
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Keywords | 京都御所 / 天皇 / 文化財 / 古都 / 政治文化 / 観光 / 天皇陵 / 正倉院 |
Research Abstract |
本年度には、研究課題に関わる論文として、「近世の内裏空間・近代の京都御苑」(『岩波講座 近代日本の文化史2』岩波書店、2001年12月)所収、を発表した。近世の九門内の内裏空間は、人々が往来自由な開かれた空間であり、観光スポットでもあった。明治維新を経て、国際社会を射程においた、文化的「伝統」の顕彰のなかで、東京「奠都」(1869年)後、荒廃した京都御苑が整備されて行く。研究課題と関わって、近世京都観光の中心に、御所があり、天皇のあり方も生き神的な民俗信仰の対象であるとともに、公共性を有する存在であることを論じた。とくに、今出川通・烏丸通りなどの外郭には築地塀はなく、九門から禁裏御所に続く両側に築地塀があり、通行者を意識した荘厳な空間の演出がなされた点は、あたらしい知見である。そのほか、古都と文化財を考えるために、「陵墓の近代-皇霊と皇室財産の形成を論点に」篠原徹編『近代日本の他者像と自画像』柏書房、2001年)、および「世界文化遺産と日本の文化財保護史」(園田英弘編『流動化する日本の「文化」』日本経済評論社、2001年)を著した。研究調査としては、東京に4回出張し、宮内庁書陵部、東京文化財研究所、国立公文書館、東京大学史料編纂所、国立国会図書館憲政資料室などで、京都御所の近世近代の文書、正倉院・天皇陵・文化財保護政策に関わる史料、牧野伸顕など文化政策に関わる史料などを、調査のうえ写真撮影し収集した。また京都市歴史資料館、京都府立総合資料館で、近世近代の京都に関わる史料、とくに京都府庁文書や紀行・観光関係を重点的に調査した。備品として文化史関係書籍を購入したほか、アルバイトとして、『公文録』『太政類典』や雑誌類から京都関係記事をひろってもらった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高木博志: "陵墓の近代-皇霊と皇室財産の形成を論点に"篠原徹編『近代日本の他者像と自画像』柏書房. 130-152 (2001)
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[Publications] 高木博志: "世界文化遺産と日本の文化財保護史"園田英弘編『流動化する日本の「文化」』日本経済評論社. 57-80 (2001)
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[Publications] 高木博志: "近世の内裏空間・近代の京都御苑"岩波講座 近代日本の文化史. 2. 274-310 (2001)