2002 Fiscal Year Annual Research Report
明治維新と京都文化の変容-19世紀における「日本文化」の近代的再編・同質化
Project/Area Number |
13610381
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (30202146)
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Keywords | 京都 / 古都 / 文化財 / 天皇制 / 京都御苑 / 陵墓 / 史跡 / 「伝統」 |
Research Abstract |
本年度には、研究課題に関わる論文・編著として、「近代天皇制と古代文化-「国体の精華」としての正倉院・天皇陵」(『岩波講座 天皇と王権を考える』5、岩波書店、2002年7月)所収、および鈴木良氏との共編著『文化財と近代日本』(山川出版社、2002年12月)を発表した。前者では、近代における古代顕彰の意味を、正倉院・天皇陵という近代の「秘匿された」皇室の財の形成を通じて考察した。「万世一系」「皇祖皇宗」という系譜意識と、古代以来つづくとされる正倉院宝物の守護と天皇陵の系譜とが連関していることを明らかにした。後者は、近代文化財問題研究会の13年間にわたる共同研究の成果であるが、京都・奈良の文化財行政史にかかわる史料の発掘(たとえば奈良県立奈良図書館の奈良県行政文書や東京国立博物館資料部や宮内庁書陵部の史料)により、陵墓・博物館・御物・史跡などの近代における形成過程を明らかにした。研究調査としては、東京に4回出張し、宮内庁書陵部・国立公文書館を中心に京都をはじめとする陵墓、泉涌寺を中心とする近世朝廷の葬礼、門跡寺院制度、年中行事などの史料や、近代の宮中関係の行政文書を閲覧し、写真撮影の上、収集した。東京大学史料編纂所では、史料編纂所の京都・奈良での史料採訪にかかわる書類を閲覧した。また京都市歴史資料館、京都府立総合資料館で、近世近代の京都に関わる史料、とくに京都府庁文書や紀行・観光関係を重点的に調査した。備品として文化史関係書籍を購入したほか、アルバイトに、『京都日出新聞』や雑誌類から京都関係記事をひろってもらった。次年度はまとめの年であるが、とくに賀茂祭の近世・近代の変遷と、東山御文庫の整備について、研究したい。
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Research Products
(2 results)