2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610532
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牧 陽一 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (40241921)
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Keywords | 毛沢東様式 / 肉としての身体 / 自国文化の客体化 / 女性アート / 中国のパフォーマンスアート / イノセント |
Research Abstract |
毛沢東様式研究の基礎的な論考として、1、「<肉>としての身体 中国パフォーマンスアートの特質」2、「イノセントへ 中国の女性アート」3、「中国、古風な前衛」など数編の文を発表することができた。 1、は中国人の身体観に言及したもので、文革中の毛様式にある理想化された「労働者としての身体」が文革後の現在「モノ化」し、「肉としての身体」へと変容した状況をアートを中心に論じた。こうした動きは欧米や日本のかつて体験した流れかもしれない。だがここに一端の特殊性が存在するとすれば「自国の文化を客体化する」作業でありここには毛様式が君臨している。欧米や日本の場合との比較検討が必要だろう。 また2、では身体論を展開する場合に不可避といえる女性の場合を民国期の美人画や洋画運動・毛沢東様式・現在の女性アートと時代ごとに概括した。ここではムーヒナらソ連社会主義リアリズム・スターリン様式との比較検討の必要性が生じてきた。またレニ「民族の祭典」などナチの文化政策やゲルマン民族の優秀性を誇示した身体観も射程に入れなければならない。 3、では毛沢東様式の対極にあると思われた文革後の前衛が、実は初期毛様式の方法的な踏襲であること、更にその前衛性において決して超越はなかったのではないか、と仮定した。前衛が現在の状況に対する異議申し立てという反体制的な力を基盤とする限り、毛沢東の権力を奪取時期以上に前衛的ではあり得ないのでないかと考えた。 以上の論評は研究の初期段階である「仮定」の域に止まっている。今後一層の資料の収集、調査を進め論を確かなものにしていく必要がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 牧陽一: "北京のパフォーマンス会場に警察が乱入"BT美術手帖(美術出版社). 53巻800号. 146-147 (2001)
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[Publications] 牧陽一: "「肉」としての身体 中国のパフォーマンスアートの特質"BT美術手帖(美術出版社). 53巻・805号. 63-65 (2001)
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[Publications] 牧陽一: "イノセントへ 中国の女性アート"月刊しにか(大修館書店). 12巻・5号. 104-109 (2001)
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[Publications] 牧陽一: "記憶と身体 中国の現代アート"『亜細亜散歩』展カタログ(資生堂・水戸芸術館). 122-127 (2001)
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[Publications] 牧陽一: "蘇る記憶 黄鋭と榮榮のこと"月刊花椿(資生堂). 615号. 40 (2001)
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[Publications] 牧陽一: "中国・古風な前衛"WALK(水戸芸術館ACM劇場). 42号. 52-61 (2001)