2002 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者のバリアフリー及び高齢化社会に向けた歩行誘導システムの事業化と調査
Project/Area Number |
13630143
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岡田 廣司 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (90326158)
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Keywords | バリアフリー / ユニバーサルデザイン / 視覚障害者 / 高齢化社会 / 歩行誘導装置 / 絵文字タイル / モバイル型音声ガイド |
Research Abstract |
次の4つの課題を中心に研究を進めた。 第1課題は、視覚障害者の単独歩行のために考案した12種類にわたる「歩行誘導絵文字タイル」の試作品完成である。従来から市場で使われている2種類の誘導ブロック、つまり「停止・確認」および「この方向に進め」の歩行誘導ブロックを調査したところ、「統一規格化されていない」、「凸凹部が必要以上に高すぎる」など、問題点の多いのが現状である。中でも、「凸凹部が必要以上に高すぎる」ため、車椅子を利用する障害者や、一般健常者等のバリヤーになっている。ハイヒールを履いた女性が当該ブロックで転倒する事故が記録されている。本研究で試作した「歩行誘導絵文字タイル」は、車椅子利用者は勿論、健常者の歩行にも支障無い範囲で、かつ視覚障害者が「足裏触知」で情報が知覚できるような凸凹部を持ち、また雨に濡れても滑り難い材質のものとした。 第2課題は、モバイル型の音声発生器の試作と実験である。マイクロコンピュータを内蔵させ、絵文字タイルの種類を判別すると、音声合成技術により、「交差点です」「トイレです」などの音声案内を発生することに成功。試作品は、実験環境が良好な場合は問題なく動作する。今後、軽量化と動作の安定化の研究を進める。 第3課題は、障害者協議会関係者、視覚障害者へのヒアリング調査、モニタリング調査を進め、商品開発への参考になる様々な意見を収集した。特に、障害者自身のモニタリング調査は、このシステムの今後の方向性に関して重要である。足裏触覚による情報の認識力は、現段階では人によって差異がみられる。この点を改善する研究を今後進める。 第4課題は、中国へ調査活動を開始した点である。この調査には2つの狙いがある。第1は、発展の著しい中国におけるバリアフリー対策の現状と展望をつかむためである。中国では、この分野の研究や対策は遅れてはいるが、1991年5月に『中華人民共和国身障者保護法』が発布されて以来、特に党と国により身障者保護への対策強化が図られるようになった。この研究は国際的視点から商品を開発するため、今後とも必要である。第2は、本システムを製造する場合、生産拠点を中国に求めたいと考えているためである。つまり、多くの障害者の方に廉価で提供するためには、高い品質でかつ低コストで製造する必要がある。この第4の課題は開始したばかりであるが、本システムの技術開発と並行研究する。
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