2002 Fiscal Year Annual Research Report
スピノル型ボーズ凝縮体における位相欠陥の力学および光学的理論
Project/Area Number |
13640301
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
倉辻 比呂志 立命館大学, 理工学部, 教授 (30178090)
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Keywords | コヒーレント状態 / ランダウーギンツブルク理論 / 渦 / マグナス力 / 位相不変量 / ストークス変数 / 偏光 / ファラデー効果 |
Research Abstract |
1:スピノル型ボーズ凝縮系に対する秩序変数は、スピンコヒーレント状態によって記述されるという事実がわれわれの出発点になっている。この秩序変数よりランダウーギンツブルク型ラグランジアンを構成して変分方程式からまず、静的なランダウーギンツブルク方程式を導くことにより、特殊解として渦構造をもつものが構成されることが昨年度の成果として得られた。本年は、この渦解を動的な場合に拡張することであった。すなわち、渦の中心位置をパラメトライズされた解をラグランジアンに代入することによって、渦座標に関する有効ラグランジアンを導き、これから運動方程式を導く。この方程式の著しい結果として、渦に作用する非散逸型力、いわゆるマグナス力が、渦のトポロジーを自然に取りうる形で得られる。すなわち、力の大きさが秩序変数の空間のトポロジーを特徴付ける位相不変量によって表されるということがわかった。この結果は本研究課題で得られた顕著な成果のひとつである。 2:本課題のもうひとつのトピックである光学的効果に関してつぎの結果が導かれた。すなわちスピノル型ボーズ凝縮体は、本質的に液晶と類似の異方性流体とみられる。その異方性は、いまの場合もっとも簡単にスピンの協同現象すなわち、強磁性流体状態によって実現されることが容易に示せる。この強磁性状態は有効磁場と等価な効果をあたえることに着目して、偏光をプローブとして用いた場合に、いわゆるファラデー効果と類似の効果をもつことが予測されるがそれの定式化を、以前に提案された"ストークス変数の力学"を用いて与えられた。さらに、スピノル型凝縮体の渦構造も異方性を反映していることを考慮すると、この場合にも偏光変化に対する同様の新しい理論ができると期待される。
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