2001 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌ヒトヨタケにおける有性生殖初期過程の分子機構
Project/Area Number |
13640666
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鎌田 堯 岡山大学, 理学部, 教授 (40033360)
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Keywords | きのこ / 担子菌 / Coprinus cinereus / 有性生殖 / ニ核菌糸 / クランプ結合 / 交配型遺伝子 |
Research Abstract |
ヒトヨタケの有性生殖過程は,交配型遺伝子AとBの支配下にある。本研究では,交配型遺伝子の下流で働き,有性生殖初期過程を制御する遺伝子ネットワーク・分子機構を明らかにすることを目的として実験を行い,以下の結果を得た。 1.A遺伝子に関して和合性の交配が行われると,A遺伝子産物HD1とHD2の間でヘテロダイマー(HD1/HD2)が形成され,これが活性型転写因子となってA遺伝子支配下の経路を活性化させる。これまでに我々は,A経路の主要な過程であるクランプ結合形成にかかわるclpl遺伝子をクローニングし,この遺伝子がHD1/HD2の存在下でのみ発現することを示している。そこで,この発現調節にかかわるシス・エレメントを同定するために,clplのプロモーターを解析した。その結果,clpl遺伝子の転写調節には,転写開始点から155(8160)16146塩基上流の10塩基(5'-GATGCAAACA-3')がかかわっていることが示された。 2.交配前の一核菌糸ではClplは存在せず,A経路はPcclたんぱく質による抑制を受け,不活性の状態にある。交配によりHD1/HD2が形成されClplタンパク質の生産が誘導されると,Clplが直接あるいは間接にPcclに働きかけ,A経路の抑制を解除することが示唆されている。そこで,ClplとPcclの間のtwo-hybrid assayを行った。その結果,ClplとPcclが相互作用していることを示唆する実験結果が得られた。 3.これまでに我々は,B遺伝子支配下の過程である,二核化のための核移動にかかわるnuml遺伝子をクローニングしている。Numlタンパク質は,ロイシンジッパーをもつなど,他のタンパクと相互作用している可能性が高い。そこで,NumlをbaitとしてcDNAライブラリーを検索した。その結果,Numlと相互作用している可能性のあるタンパク賛をコードする3つのクローンを得ることができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hajime Muraguchi: "A distinctive phenotype in the common-A heterokaryon of Coprinus cinereus"Mycoscience. 43(in press). (2002)
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[Publications] Takashi Kamada: "Molecular genetics of sexual development in Coprinus cinereus"BioEssays. 24(in press). (2002)