2002 Fiscal Year Annual Research Report
高温超電導マルチバルク軸受システムにおける浮上弾性ロータの非線形ダイナミクス
Project/Area Number |
13650258
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉浦 壽彦 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70265932)
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Keywords | 超電導浮上 / 非線形結合 / 電磁力 / 連成振動 |
Research Abstract |
高温超電導磁気軸受を用いた電力貯蔵用フライホイールシステムは,高温超電導バルク材を複数敷き詰めた構成をとり,非接触で磁気的に支持される直径数mのロータを構成する磁石も複数個結合させたものとなる.このようなシステムは,超電導体とその上に浮上した磁石とから成る磁気浮上系が複数連鎖して並んだ系としてモデル化し得る.この超電導磁気浮上連鎖系は多自由度の振動子結合系であるが,特に電磁力による非接触支持という特徴により,低減衰の非線形結合系となるため,非線形連成の影響が発現しやすい系であるといえる.このような機械的構造の結合非線形振動子系が,外部から励振された時の振動特性を考察することは工学的な観点からも意義深い. 本研究では,高温超電導磁気浮上連鎖系の3自由度強制振動において,個々の振動子の時系列データに関するスペクトル分析とポアンカレマップを用いた解析,および複数の振動子の時系列データに対するproper orthogonal decomposition(POD)の適用による系の空間的相関の分析を行った.その結果,系のパラメータである加振振動数と加振振幅を変化させたとき,個々の振動子の力学的挙動に分岐が生じ,振動パターンが,単一の振動数による振動,複数の振動数による振動,カオス的な振動,というように質的に変化すること,さらにこのとき,複数の振動子間の空間的相関にも変化が生じうることが確認された.また,このようなパラメータ変化に伴う分岐による運動の質的変化と複数の振動子間の空間的相関の変化に関して,数値解析結果と定性的に一致する実験結果を得て,数値解析結果の妥当性を確認した.以上の成果は,高温超電導磁気浮上系および多自由度連鎖系の工学的応用に有用な知見を与えると考える.
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Research Products
(1 results)