2003 Fiscal Year Annual Research Report
鉄筋コンクリート造内部柱梁接合部の梁降伏後せん断劣化機構の解明
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13650612
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
後藤 康明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90170472)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 柱梁接合部 / 偏心 / せん断破壊 / 付着 / 降伏 / 有限要素解析 / 応力伝達機構 |
Research Abstract |
昨年度に行った鉄筋コンクリート内部柱梁接合部試験体を対象に、3次元非線形有限要素解析を用いて接合部内の応力伝達機構および破壊機構について検討を行った。以下の通り総括する。 解析モデルの構築にあたり、次の点を特に考慮した。 1)柱梁接合部の挙動に梁主筋の付着性状が大きく影響を及ぼすことから、梁主筋に対して直交方向に作用する柱曲げ圧縮力の影響を付着の構成モデルにおいて考慮した。 2)予備解析において、偏心接合部の挙動に加力装置の捩り抵抗剛性が影響することが判明したため、捩り反力装置を忠実にモデル化した。 3)梁端コンクリートは鋼製のカバーによる拘束効果を考慮して軟化を示さない鋼製モデルとした。 解析結果により明らかになった点を列挙する。 1)偏心接合部では、接合コンクリートが圧縮破壊する領域が梁取り付き側に集中するため、偏心の無い接合部に比べてせん断耐力が減少するが、耐力以降は耐力時に破壊しなかった領域のコンクリートが有効に機能するので耐力低下が緩やかとなる。 2)偏心接合部の接合部せん断変形は、偏心側で大きく非偏心側で小さくなる現象を観察できたが、偏心側では実験で見られた捩りモーメントによる逆方向への変形が過小となった。これは、梁コンクリート圧縮領域が幅方向に一様に挙動したためと考えられるので、このような変形を表現できるモデル化を検討する必要がある。 3)水平力の増大に伴い梁端コンクリートの曲げ圧縮域が梁せいの中心を越えて広がるため、両側の梁でこの圧縮力が重なり合う状況が観察できた。この圧縮力の重なりは、接合部へはせん断力ではなく圧縮力(拘束力)として作用するため、従来の実験で指摘されていた、「接合部がせん断破壊しても接合部への入力が増大し続ける」現象を説明できた。但し、この応力によって接合部の圧縮破壊が生じるため「接合部コンクリートの破壊が生じていない」との説を否定する結果を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 辻, 北野, 後藤, 城: "偏心を有するRC造内柱梁接合部のせん断抵抗性状に関する実験的研究"コンクリート工学年次論文報告集. Vol.25,No.2. 529-534 (2003)
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[Publications] 原藤, 佐藤, 辻, 北野, 後藤, 城: "偏心を有するRC造内柱梁接合部のせん断抵抗性状に関する実験的研究(その1.実験概要、亀裂性状、変形)"日本建築学会大会学術講演梗概集. 構造IV. 501-502 (2003)
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[Publications] 佐藤, 原藤, 辻, 北野, 後藤, 城: "偏心を有するRC造内柱梁接合部のせん断抵抗性状に関する実験的研究(その2.耐力、鉄筋挙動と破壊形式の検討)"日本建築学会大会学術講演梗概集. 構造IV. 503-504 (2003)
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[Publications] 辻, 佐藤, 原藤, 北野, 後藤, 城: "偏心を有するRC造内柱梁接合部のせん断抵抗性状に関する実験的研究(その3.偏心率と耐力の関係)"日本建築学会大会学術講演梗概集. 構造IV. 505-506 (2003)
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[Publications] Yasuaki GOTO, Osamu JOH: "Experimental Study on Shear Resistance of RC Interior Eccentric Beam-Column Joints"9th East Asia-Pacific Conference on Structural Engineering and Construction. (CD-ROM). (2003)
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[Publications] Yasuaki GOTO, Osamu JOH: "Shear Resistance of RC Interior Eccentric Beam-Column Joints"Proceedings of 13th World Conference on Earthquake Engineering. (発表予定)(CD-ROM). (2004)