2001 Fiscal Year Annual Research Report
都市に自然環境を創造する価値をCVMで計測する手法の開発
Project/Area Number |
13650685
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
桜井 慎一 日本大学, 理工学部, 助教授 (30170640)
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Keywords | 環境創造 / 自然の再生 / CVM(仮想評価法) / 人工なぎさ / 非利用価値 / アンケート調査 / 価値認識 |
Research Abstract |
都市での環境創造の事例として「人工なぎさ」の造成を仮定している東京湾から約300km離れた名古屋市および仙台市において,一般市民を対象とした直接面接形式のアンケート調査を実施した。両都市から175票ずつの有効回答が得られ,CVMによって毎年一世帯あたりが年間に支払える金額である「支払意志額」の推定を行った結果,名古屋市民は2302円,仙台市民は2380円を負担する意志があることが求められた。つまり,自分の居住地から約300kmも離れた東京湾に生物生息のための人工なぎさを造成することに対して,2300〜2400円というほぼ同等の価値認識を持っていることが得られた。 一方,伊勢湾に人工なぎさを造成することを仮定して,それに対する評価を東京都江戸川区に居住する住民175人を対象にアンケート調査を実施した。CVMで支払意志額の推定を行った結果,伊勢湾に生物生息のための人工なぎさを造成することは,江戸川区民にとって3241円の価値として認識されていた。これを前述の結果と比較すると,東京と名古屋の住民は,相互に300km離れた伊勢湾と東京湾で行う人工なぎさ造成事業に対して,約1.4倍の価値認識の差異が生じたことになる。その原因を,回答者の属性や環境創造事業に対する認知度の違いなどで検討した結果,人工なぎさの価値を高く評価していた江戸川区の住民の方が若干,年収が高いことや,葛西海浜公園という生物生息を目的とした人工なぎさの事例が居住地の近くに存在するため,新たに創造する自然の効果を実感している人の評価が高いことが背景にあるといった知見が得られた。
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