2001 Fiscal Year Annual Research Report
植物トランスポゾンの転移を制御するメチル化発生機構の分子的基礎
Project/Area Number |
13660001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
貴島 祐治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60192556)
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Keywords | キンギョソウ / トランスポゾンTam3 / 低温依存性転移 / DNAのメチル化 / 重亜硫酸ナトリウム処理実験 / タンパク質のDNA結合実験 / 転移酵素タンパク質 |
Research Abstract |
本研究ではキンギョソウトランスポゾンTam3の低温依存性転移の分子機構の解明を目的とし、まずTam3のメチル化と温度の関係,そしてTam3と転移酵素タンパク質との結合特性に関して解析を行った。 重亜硫酸ナトリウムを用いて化学的にメチル化シトシンとシトシンを分別し,Tam3のメチル化レベルを定量した。供試系統ゲノムに存在する3つのTam3コピーについて末端から200bpのメチル化を比較したところ、配列内の全域のメチル化レベルが15℃で低メチル化となることを塩基配列レベルで明らかにした。特に,3領域で顕著に減少することを確認し、サザン解析の結果を裏付けた。また,Tam3転移酵素タンパク質を欠損した系統のメチル化レベルは,全体的に低く、温度の違いによって殆ど変化しなかった。以上の結果,Tam3末端配列のメチル化と転移の抑制とは強い相関があり、さらにそのメチル化レベルの調節にTam3転移酵素タンパク質自身が関与している可能性が指摘された。 トランスポゾンの転移で最も重要なステップはトランスポゾンの末端にある逆位反復配列(TIR)を標的とした二本鎖DNAの酵素的切断であり、様々なトランスポゾンで転移酵素タンパク質がTIRへ結合することが確かめられている。本実験では、Tam3転移酵素タンパク質もTIRへ結合する事を、ゲルシフトアッセイによって確かめた。また、一本鎖DNAのTIRをそれぞれコンペティターとして競合検定を行った結果、センス鎖およびアンチセンス鎖の両一本鎖DNAと競合することが判明した。しかし、メチル化シトシンを含む一本鎖とは競合しなかった。従って,Tam3転移酵素タンパク質は通常TIRの両鎖に結合することができるが,TIRのメチル化シトシンを含むDNA鎖とは結合できないことを明らかにした。
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[Publications] Ken Kitamura: "Position effect of the excision frequency of the Antirrhimun transposon Tam3 : implications for the degree of position-dependent methylation in the ends of the element"Plant Molecular Biology. 47. 475-490 (2001)
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[Publications] 貴島 祐治: "植物トランスポゾンの転移機構に関する分子育種学的研究"育種学研究. 3・3. 169-175 (2001)