2003 Fiscal Year Annual Research Report
機能ゲノム学的手法によるバラ科果樹の自家不和合性花粉側因子の同定
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13660011
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐々 英徳 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (50295507)
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Keywords | 自家不和合性 / 雌ずい / 花粉 / RNase / F-boxタンパク質 / バラ科 / ユビキチン / アーモンド |
Research Abstract |
自家不和合性における花粉と雌ずいの細胞間認識は、植物における数少ない「自己認識」システムであり、本研究はその分子機構の解明を目的としている。自家不和合性は単一の遺伝子座(S遺伝子座)に座乗する複対立遺伝子によって説明できる。我々はこれまでにアーモンドのS遺伝子座の詳細な解析により、花粉S遺伝子候補として新規のF-boxタンパク質遺伝子SFB(S haplotype-specific F-box protein)を同定した。しかしSFBは、これまでバラ科・サクラ亜科・サクラ属(Prunus)植物以外からは見出されていない。今年度は、他の植物種にもSFBが存在して花粉S遺伝子として機能しているかどうかを明らかにするため。バラ科・ナシ亜科植物のS遺伝子座の解析を進めた。しかし、サクラ属植物のS遺伝子座領域より広範囲の解析を行ったにもかかわらずナシ亜科植物のF-box遺伝子は同定されなかった。このことは、ナシ亜科植物のS遺伝子座はサクラ亜科のものより物理的に大きいことを示していると考えられた。また、サクラ属SFBの一次構造を詳細に特徴づけるため、10以上のSFB対立遺伝子の単離と配列解析を行った。その結果、SFBに見られる可変領域は比較的親水性であり、進化的に正の淘汰を受けていることが示され、恐らくSFBの可変領域はタンパク質分子表面に露出しており、「自己認識」に重要な役割を果たしているものと考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ushijima, K. et al.: "Structural and transcriptional analysis of the self-incompatibility locus of almond : Identificatiou of a pollen-expressed F-box gene with haplotype-specific polymo"Plant Cell. 15. 771-781 (2003)
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[Publications] Ikeda, K. et al.: "Primary structural features of the S haplotype-specific F-box protein, SFB, in Prunus"Sex.Plant Reprod.. 16. 235-243 (2004)
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[Publications] Yamane, H. et al.: "A pollen-expressed gene for a novel protein with an F-box motif that is very tightly linked to gene for S-RNase in two species of cherry, Prunus cerasus and P.avium"Plant Cell Physiol. 44. 764-769 (2003)
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[Publications] Yamane, H. et al.: "The use of S haplotype-specific F-box protein gene, SFB, as a molecular marker for S-haplotype and self-compatibility in Japanese apricot (Prunus mume)"Theor Appl Genet. 107. 1357-1361 (2003)