2003 Fiscal Year Annual Research Report
アクティベーションタギングラインを用いたAl耐性遺伝子群の単離とその解析
Project/Area Number |
13660066
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江崎 文一 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90243500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)
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Keywords | Al耐性機構 / アクティベーションタギングライン / Al耐性遺伝子 / 根毛 / Al毒性機構 / アラビドプシス / 根毛突然変異株 / 形質転換植物 |
Research Abstract |
新規のAl耐性遺伝子を単離してAlストレス耐性機構を解明するために、シロイヌナズナのアクティベーションタギングラインをスクリーニングした結果、遺伝子解析が可能な耐性株、#355-2を得た。この株では、挿入位置のすく下流の2つの遺伝子(F9E10.5とF9E10.6)が高発現化していた。F9E10.6は3-methyladenine glycosylaseであったが、F9E10.5は機能未知の遺伝子であった。これらのうち、根で特異的に発現していたのはF9E10.5であった。 #355-2株の根毛は野生型株(Col)のそれに比べて短く(約1/3)、これらの遺伝子の高発現量化で、根毛の生育が抑制された可能性があった。さらにこの株では野生型株に比べて根全体でのAl吸収量が低かった。これらのことから、根毛からのAlの取込みが低いことによってAl耐性となった可能性が示唆された。 では、色々な根毛の変異株の中には、Al耐性を示すものがあるのではないだろうか?そこで根毛の変異株を用いて、Al感受性試験を試みた。その結果、野生型株に比べて耐性を不すものがいくつか確認された。これらは根毛がAl毒性機構や耐性機構に関連することを示唆している。 さらに高発現化していた2つの遺伝子の内、F9E10,5遺伝子の完全長のcDNAを理研より分譲して頂き、植物形質転換用プラスミドに正、逆方向に繋ぎ、センスタイプ(高発現型)、アンチセンスタイプ(発現抑制型)のプラスミドを構築した。これらをアラビドプシスに導入し、各々に対して3系統、4系統の形質転換体を得た。しかし、これらの2種類の形質転換体(高発現型、抑制型の両方)の根毛長は非形質転換体のそれと、ほとんど違いがなかった。また、これらの形質転換株を用いたAl感受性試験でも、両タイプの株とも非形質転換体と同レペルの感受性であった。残念ながら#355-2株のAl耐性や短い根毛の形成はF9E10.5遺伝子の高発現化だけでは説明できない。F9E10.6遺伝子がこれら2つの形質に関連している可能性がある。また、両遺伝子が協調的に高発現化することが必要なのかもしれない。今後、F9E10.6遺伝子にも注目してAl耐性との関わりについて検討していく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] B.Ezaki, M.Suzuki, H.Motoda, M.Kawamura, S.Nakashima, H.Matsumoto: "Mechanism of Gene expression of Arabidopsis Glutatione S-transferase, AtGST1 and AtGST11,in Response to Aluminum(Al)Stress"Plant Physiol. (in press). (2004)
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[Publications] M.Sivaguru, B.Ezaki, ZH.He, H.Tong, H.Osawa, F.Baluska, D.Volkmann, H.Matsumoto: "Aluminum-induced gene expression and protein localization of cell wall-associated receptor kinase in Arabidopsis"Plant Physiol. 43. 1-11 (2003)
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[Publications] T.Sasaki, Y.Yamamoto, B.Ezaki, M.Katsuhara, S.J, Ahn, P.Ryan, E.Delhaize, H.Matsumoto: "A wheat gene encoding an aluminum-activated malate transporter"Plant J.. (in press). (2004)
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[Publications] H.Matsumoto, Y.Yamamoto, B.Ezaki: "Advances in Plant Physiology, Vol 5"Scientific Publishers, Jodhpup, India. 45 (2003)