2002 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンを介した遺伝子発現抑制機構:アクチン関連タンパク質Arp6複合体の解析
Project/Area Number |
13660076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 昌彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70218642)
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Keywords | アクチン関連タンパク質 / クロマチン / 遺伝子発現制御 / クロマチンリモデリング複合体 / 転写コリプレッサー |
Research Abstract |
真核細胞中でゲノムDNAはヒストンと結合したクロマチンとして存在しており、このクロマチン構造が遺伝子の発現制御に深く関与している。アクチン関連タンパク質は、アクチンに進化的・構造的に関連性を有する一群のタンパク質であるが、その一部は細胞核に局在しており、クロマチンの構造変換に重要な役割を果たすと予想されている。本研究では、ヒトおよび出芽酵母のArp6の遺伝子発現抑制への関与を解析することを目的とした。出芽酵母Arp6の破壊株を作成し、テロメア近傍のヘテロクロマチンにおけるマーカー遺伝子の発現を解析したところ、Arp6がテロメアヘテロクロマチンの形成に関与することが示された。Sirタンパク質のヘテロクロマチン結合はARP6遺伝子破壊による影響を受けなかったことから、Arp6はSirタンパク質とは異なった分子機構でヘテロクロマチン形成に関与する可能性が示された。また、His6タグとFLAGタグを付加した出芽酵母Arp6が細胞内で形成する複合体の精製を試み、部分精製画分を得た。現在構成タンパク質の同定を進めている。ヒトArp6については、相互作用するタンパク質のTwo-hybrid法による検索・解析を行った。その結果、ヒトArP6はヘテロクロマチン形成に関与することが報告されているHP1、および機能未知なhTPR1と結合することが示された。ヒトArp6は核マトリックスと結合することと考えあわせ、ヒトArp6がヘテロクロマチンの核内局在性やクロマチン機能ドメインの形成に関与する分子機構の一部が示された。これらの研究の一部は、海外共同研究者であるDr.Ulrike Wintersbergerの研究室を訪問し、共同で実験を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kuroda Y. et al.: "Brain-specific expression of the nuclear actin-related protein ArpNalpha and its involvement in mammalian SWI/SNF chromatin remodeling complex"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 299. 328-334 (2002)
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[Publications] Ohfuchi E. et al.: "Alternative splicing products of the gene for a human nuclear actin-related protein, hArpNbeta/Baf53, encode a protein isoform, hArpNbetaS, localized in the cytoplasm"Biosci. Biotechnol. Biochem.. 66. 1740-1743 (2002)
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[Publications] Harata M. et al.: "Correlation between chromatin association and transcrptional regulation for the Act3p/Arp4 nuclear actin-related protein of Saccharomyces cerevisiae"Nucleic Acids Res.. 30. 1743-1750 (2002)
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[Publications] 原田昌彦, 尾間由佳子: "クロマチン機能ドメインの形成-アクチン関連タンパク質の関与"実験医学. 20. 1601-1608 (2002)
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[Publications] 原田昌彦: "核マトリックスによる核構築-アクチンファミリーからのアプローチ"細胞工学. 21. 1164-1168 (2002)
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[Publications] Oma Y.et al.: "The brain-specific actin-related protein ArpNalpha interacts with the transcriptional co-repressor CtBP"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 301. 521-528 (2003)