2002 Fiscal Year Annual Research Report
牛乳アレルゲン由来ペプチドの経口投与による牛乳アレルゲンに特異的な免疫抑制効果
Project/Area Number |
13660117
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
榎本 淳 群馬大学, 工学部, 助教授 (70183217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水町 功子 畜産草地研究所, 品質開発部, 室長
栗崎 純一 農業生物資源研究所, 遺伝資源研究グループ, グループ長
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Keywords | 経口寛容 / T細胞応答 / 抗体応答 / ペプチド / エピトープ / クラス・サブクラス / サイトカイン / 牛乳アレルゲン |
Research Abstract |
【目的】代表的な牛乳アレルゲンであるβ-ラクトグロブリン(β-Lg)由来ペプチドをマウスに経口投与した場合、β-Lgに対する抗体応答やT細胞応答がどのように抑制されるのか、主に前者をクラス・サブクラス特異的な観点から、後者をサイトカイン産生パターンの変化から検討した。【方法】一群3〜5匹のC3H/HeNマウスにβ-Lgの主要なT、B細胞抗原決定基の両者を含むペプチド91-104あるいは129-143を3mg/回の投与量で1日おきに計5回経口投与した。これらのマウスをさらにアジュバントと共にβ-Lgにて2回腹腔内免疫し、その際に誘起される特異抗体応答をクラス・サブクラス特異的な検出二次抗体を用いたELISAにより評価した。またT細胞応答に関しては、上記各マウスをβ-Lgにて1回免疫後、そのリンパ節細胞を採取し、それらをin vitroで培養した際の各種サイトカイン産生量をELISAにより測定・比較した。【結果】あらかじめペプチドを経口投与した群では、β-Lgに対する全血清抗体量やT細胞増殖量が未投与群の2/3〜1/2まで低下し、1種類のペプチドの経口投与によりnativeな蛋白質抗原に対する免疫応答を少なくとも部分的には抑制できることが示された。さらに抗体応答をクラス・サブクラスごとに評価したところ、ペプチド91-104の投与では主にIgG_1ならびにIgG_<2a>応答が、ペプチド129-143の投与ではIgG_1応答が強く抑制されていることが明らかとなった。またT細胞応答をサイトカイン産生パターンの変化から検討したところ、Th1応答の主要なサイトカインであるIFN-γを対象とした場合、それぞれのペプチドの経口投与により、そのペプチド内に含まれるエピトープに特異的な応答が優先的に低下することが観察された。しかしTh2応答の代表的なサイトカインであるIL-10に関しては、全ての群においてその有意な産生が認められなかった。
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Research Products
(1 results)