2002 Fiscal Year Annual Research Report
内胚葉形成過程におけるSox17遺伝子の自律的分化能の解析
Project/Area Number |
13660295
|
Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
金井 克晃 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30260326)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 良博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90092303)
米川 博道 財)東京都医学研究機構, 実験動物研究部門, 副所長(研究職) (30142110)
|
Keywords | Sox17 / 内胚葉 / ES / 腸管形成 |
Research Abstract |
Sox (Sry-related HMG box)ファミリーは、哺乳類の精巣決定遺伝子SryのDNA結合領域であるHMGボックスと高い相同性を示す一連の転写因子群である。我々は、ノックアウトマウスを用いた機能解析により、Sox17が、胚性内胚葉の分化、維持に必須の遺伝子であることを明らかにした。我々は、さらに、Sox17の自律的機能を検討するため、Sox17欠損ES細胞株を単離し、ROSAマウス(体中の全ての細胞がLacZ陽性)とのキメラ解析を行った。その結果、高度にSox17欠損ES細胞が寄与したキメラマウス(胚体外内胚葉領域が正常なROSAマウス由来細胞に置き換えられたSox17欠損胚)は、Sox17ノックアウトマウス同様、胚性内胚葉の分化異常、腸原基の形成不全の表現型を示すことが確認された。これは、胚体外内胚葉でのSox17の機能の欠失は、Sox17ノックアウトマウスの表現型に寄与していないことを示す。さらに、胎齢7.5-9.5日のキメラ胚でのSox17欠損ES細胞の各組織への分化能について検討した結果、Sox17欠損ES細胞は、高頻度に中胚葉(体節、心臓、側板中胚葉、脊索など)、外胚葉(神経管、皮膚)由来組織に分化していたのに対し、胚性内胚葉由来である腸原基では、ほぼ宿主由来の細胞で構成された。前腸部では、Sox17欠損ES細胞の部分的な寄与が観察されるが、中/後腸領域ではSox17欠損ES細胞は全く寄与できず、全ての細胞が宿主由来細胞で構成された。以上の結果は、Sox17が、自律的に胚性内胚葉への分化、特に中/後腸の分化に必須の機能を担っていることを証明するものである.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kanai-Azuma M, Kanai Y, 他9名: "Depletion of definitive gut endoderm in Sox17-null mutant mice"Development. 129(10). 2367-2379 (2002)
-
[Publications] Noma T, Kanai Y, 他7名: "Stage-and sex-dependent expressions of Usp9x, an X-linked mouse orthologue of Drosophila Fat facets, during gonadal development and oogenesis in mice"Cene Exp.Pattern (the section of Mech.Dev.). 2. 87-91 (2002)
-
[Publications] 水上拓郎, 金井克晃他5名: "マウス末分化生殖原基の器官培養による精巣、卵巣への分化誘導"J.Reprod.Develop.. 48. XX-XXIII (2002)
-
[Publications] 金井克晃, 他7名: "哺乳類の生殖腺の性分化-SryからMis/テストステロン分泌まで"比較内分泌学会ニュース. 106. 14-21 (2002)
-
[Publications] Nakano, K, Kanai-Azuma, M, Kanai Y, 他4名: "Cofilin Phosphorylation and Actin Polymerization by NRK/NESK, a Member of the Germinal Center Kinase Family"Exp.Cell Res.. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Tam PPL, Kanai-Azuma, M, Kanai Y.: "Early endoderm development in vertebrates : lineage differentiation and morphogenetic function"Curr.Opin.Genet.Dev.. (印刷中). (2003)