2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝門脈レプチンセンサーによって制御される食行動・エネルギー代謝調節
Project/Area Number |
13670067
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Research Institution | OITA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉松 博信 大分医科大学, 医学部, 教授 (00166993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加隈 哲也 大分医科大学, 医学部, 助手 (80343359)
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Keywords | レプチン / 肝門脈 / 食行動 / エネルギー代謝 / 神経ヒスタミン / 褐色脂肪組織 / 交換神経 / アディポネクチン |
Research Abstract |
肝門脈レプチンセンサの食行動およびエネルギー代謝調節における意義を明らかにするため本年度は昨年度に続き、レプチン少量門脈内投与による、食行動変化、肝臓内脂肪代謝、褐色脂肪組織(BAT)uncoupling protein(UCP)発現変化を解析した。また本年度は新たに、レプチンと同様にエネルギー代謝を調節する脂肪組織由来物質として新規に発見されたアディポネクチンについても末梢投与による影響を調べ、レプチンのそれと比較検討した。1.肝門脈内レプチン少量投与による食行動変化:昨年度明らかにした、肝門脈へのレプチン100μg/rat末梢投与で認められた自由摂食条件下での24時間摂食量の減少は、10μg/ratおよび1μg/ratの少量投与では認められなかった。すなわち通常量投与時の反応は肝門脈系に特異的ではなく全身性に視床下部に運ばれたレプチンによって生じていることが示唆された。しかし24時間絶食後の制限給餌下では10μg/ratの門脈内投与で、食事摂取4時間での短期的な摂食抑制効果が認められた。すなわち肝門脈でのレプチン信号は24時間摂食量に影響するほど強くはないが、短期的な摂食調節系に関与していることが考えられる。2.肝門脈内レプチン投与による肝臓内脂肪代謝:肝門脈内レプチン投与により肥満動物モデルの肝臓内中性脂肪含量が減少した。脂肪合成系の転写因子であるsterol regulatory element binding protein 1cの発現が低下しており、それにともなってその下流に存在する脂肪酸代謝酵素のmRNA発現が低下していた。3.肝門脈内レプチン投与によるBATエネルギー消費系の応答:肝門脈内レプチン投与により、BAT UCPl mRNA発現が亢進した。昨年度の研究によりレプチン投与がBATに分枝する交感神経活動を増加させることをすでに明らかにしている。UCPl発現は交感神経系による制御をうけていることから、今回の結果はレプチンがレプチンセンサー、求心性迷走神経系、延髄孤束核、遠心性交感神経系という自律神経系の反射回路を経由して、BATのエネルギー消費系に影響することを示唆している。4.アディポネクチンの末梢性エネルギー代謝調節作用:アディポネクチンの末梢投与により肥満動物モデルの体重増加抑制と内臓脂肪の減少が認められた。またBAT交感神経活動促進作用がレプチンと同様に認められた。一方、摂食行動には変化がなかった。これらの作用はアディポネクチンの中枢投与では観察されなかった。以上より肝門脈レプチンセンサは短期的摂食調節とエネルギー消費調節、肝臓内脂肪代謝調節に関与していることが判明した。またアディポネクチンも末梢作用を有し、肝門脈センサを介して作用を発現する可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshimatsu H et al.: "Histidine Suppresses Food Intake through Its Conversion into Neuronal Histamine"Exp. Biol. Med.. 227. 63-68 (2002)
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[Publications] Hidaka S et al.: "Chronic central leptin infusion restores hyperglycemia independently of food intake and insulin level in streptozotocin-induced diabetic rats"FASEB J.. 16. 509-518 (2002)
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[Publications] Tuda K et al.: "Hypothalamic histamine neurons activate lipolysis in rat adipose tissue"Exp. Biol. Med.. 227. 208-213 (2002)
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[Publications] Yoshimatsu H et al.: "Histidine induces lipolysis through sympathetic nerve in white adipose tissue"Eur. J. Clin. Invest.. 32. 236-241 (2002)
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[Publications] Tsuruta Y et al.: "Hyperleptinemia in A y/a mice upregulates arcuate cocaine-and amphetamine-regulated transcript expression"Am J Physiol. 282. E967-E973 (2002)