2002 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨分化能を有するN1511細胞株を用いた機能軟骨再生技術の開発
Project/Area Number |
13670231
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 秀人 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助教授 (90240514)
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Keywords | 軟骨 / 軟骨細胞 / 分化 / アグリカン / p53 / バーシカン / プロテオグリカン / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
本研究の目的は、「軟骨細胞分化能を有する細胞株を用いて機能軟骨組織を人為的に作製し、破壊軟骨の修復技術を開発すること」である。 p53ノックアウトマウスの肋軟骨細胞より樹立されたN1511細胞の性質の検討を初年度に終え、論文を発表した(Kamiya, N. et al. J Bone Miner Res 2002)。本年度はまず同細胞の軟骨初期段階のシグナル伝達に関して検討し、ATDC5等軟骨分化を遂げる従来の細胞と同様、N1511細胞がBMPs, TGF-βに関してATDC5と同様の反応を示すことがわかった。ATDC5細胞株が分化誘導初期とは異なるPTHへの反応を示すのに対し、N1511細胞は軟骨初期分化段階を忠実に反映する点が特徴である。我々は軟骨分化の初期段階に一時的に高発現するプロテオグリカン、バーシカンに着目し、N1511を用いて同分子の軟骨初期分化における役割を検討した。まず、同細胞のバーシカンの発現パターンをリアルタイムRT-PCRにて検討したところ、生体と同様、分化誘導2日目にピークを持つ一過生の発現を示した。次にantisense stableクローンを多数獲得しバーシカンとアグリカンの発現の連関を検討したところ、バーシカンの発現の抑制によって後に現れるアグリカンの発現が遅延していた。バーシカンには4つのバリアントが存在するが、軟骨分化初期段階に発現するのはコンドロイチン硫酸鎖を持つものであることがわかったので、分化初期段階の細胞をコンドロイチナーゼ処理したところ、分化は抑制された。以上の結果から軟骨分化初期段階においてバーシカンがそのコンドロイチン硫酸鎖を通じて軟骨分化を制御することが明らかとなった(論文投稿中)。 なお、本年度当初予定していた「支持体を用いた軟骨組織の形成能の検討」は研究遂行中に条件検討が難しく、期間中に実験系の確立は達成し得なかった。
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Research Products
(1 results)