2001 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルスの神経軸索輸送の解析と治療用ベクターとしての可能性の検討
Project/Area Number |
13670291
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小笠原 正洋 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40185492)
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Keywords | UL25 / UL34 / Dynein IC1A / Dynein IC2C / DCTN1 |
Research Abstract |
1.分子モーターとウイルス蛋白間の相互作用の検索 分子モーター蛋白のクローニングから開始した。神経特異的レトログレイドモーター蛋白としてダイネインIC1A variant、普遍的モーター蛋白ダイネインIC2C variant、カーゴアダプター蛋白ダイナクチン(DCTN1 ; p150^<Glued>)をクローニングした。これらモーター蛋白とインターラクションの可能性のあるウイルス蛋白としてUL25、UL34、それからウイルスの持つ燐酸化酵素UL13、US3をクローニングした。以上の蛋白間のインターラクションをInvitro translation systemで解析した。 (1)テグメント蛋白UL34が神経特異的蛋白ダイネイン(IC1A variant)と高い親和性を示した。 さらに、弱いながら普遍的モーター蛋白(lC2C variant)、カーゴアダプター蛋白(DCTN1 ; p150^<Glued>)とも親和性を示した。カプシド蛋白UL25のこれらモーター蛋白とのインターラクションは確認されなかった。 (2)神経特異的蛋白ダイネイン(IC1A variant)はカーゴアダプター蛋白(DCTN1 ; p150^<Glued)と会合し、小胞輸送すると考えられている。その際、IC1Aの燐酸化・脱燐酸化が重要だと最近報告された。はっきりした結果ではないが、ウイルス燐酸化酵素(serine/threonine type)UL13/US3はIC1Aを燐酸化しているようだ。 (3)カプシド蛋白UL25の神経軸索輸送への関わりとして、UL25は小胞のニューロン末端での細胞膜融合に必須の融合原ペプチドモチーフをアミノ末端に持つようである。 (4)UL41(宿主の蛋白合成阻害作用)、UL13(ウイルス憐酸化酵素)の両遺伝子を欠損した欠損ウイルスを作成した。今後、US3も欠損した3遺伝子欠損ウイルスをさくせいし、ウイルス燐酸化酵素の神経軸索輸送に対する関与を検討予定である。 以上、少しずつではあるがヘルペスウイルスの神経軸索輸送の生化学的メカニズムが明らかになりつつあると思う。
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