2002 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルスの神経軸索輸送の解析と治療用ベクターとしての可能性の検討
Project/Area Number |
13670291
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小笠原 正洋 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40185492)
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Keywords | US3 / US11 / ヘルペス |
Research Abstract |
昨年度は、テグメント蛋白UL34が神経特異的蛋白ダイネイン(IC1A variant)と高い親和性を示し、さらに、弱いながら普遍的モーター蛋白(IC2C variant)、カーゴアダプター蛋白(DCTN1;p150^<Glued>)とも親和性を示したことを報告した。 本年度はウイルス燐酸化酵素(serine/threonine type ; UL13とUS3)の細胞内でのレトログレイド輸送への関わりを検討した。(以下のリコンビナントウイルスを作成) (1)US3遺伝子欠損ウイルス (2)UL13遺伝子欠損ウイルス (3)GFP融合US11リコンビナントウイルス (4)US3遺伝子欠損/GFP融合US11リコンビナントウイルス (5)UL13遺伝子欠損/GFP融合US11リコンビナントウイルス Yield assayの結果、US3遺伝子欠損ウイルス感染細胞において、細胞内での増殖がほぼ正常にもかかわらずwild type, UL13遺伝子欠損ウイルスの感染に比べて細胞外へのウイルスの放出が遅れる傾向にあった。この事はウイルスのアンテログレイド輸送の障害が考えられると思う。そこでウイルスのアンテログレイド輸送に関わるUS11にGFP-tagをつけたリコンビナントウイルスを作成し、さらにUS3遺伝子欠損/GFP融合US11リコンビナントウイルスを作成した。Yield assayの結果では、このダブルリコンビナントウイルスとUS3遺伝子欠損ウイルス間で細胞内での増殖・ウイルスの放出に差異は見られなかった。しかし、GFP-tagged US11を指標にcell to cellの拡がりを観察してみると、ダブルリコンビナントウイルスの方がGFP-tagged US11リコンビナントウイルスより拡がりの遅れが観察された。以前より、培養細胞での感染実験でUS11はUS3により燐酸化の基質になるが、その機能には必須ではないといわれている。しかし、今回観察された結果を見ると、US3が直接あるいは間接的にアンテログレイド輸送に関係している可能性がある。US11は必須の遺伝子ではないが、神経軸索輸送ではアンテログレイド輸送に必須といわれている。今後、神経由来細胞株、In vivoでのUS3の機能をUS11とキネシン(アンテログレイドモーター蛋白)の燐酸化の面から検討したい。
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