2001 Fiscal Year Annual Research Report
い草染土粉塵による塵肺の発症メカニズムと修飾因子ならびに障害予防
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13670337
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原田 幸一 熊本大学, 医学部, 講師 (00094029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 久美子 熊本大学, 薬学部, 助手 (70150547)
大森 昭子 熊本大学, 医学部, 助手 (60040193)
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Keywords | い草 / 染土 / じん肺 / 遊離ケイ酸 / マクロファージ / 好中球 / 粉じん / 真菌類 |
Research Abstract |
平成13年度の実績 1 動物実験 曝露装置にラットを固定し、遊離ケイ酸添加い草染土を曝露した。6日間連続曝露後、ラット肺泡液を染色検鏡したところ、遊離ケイ酸含有率に応じて活性化マクロファージ数や好中球数が増加していた。同様に長期間曝露後、ヘマトキシリン・エオジン染色した肺組織標本を観察すると、肺中枢側の気管支周囲に肺胞上皮の腫大や活性化マクロファージが観察された。この結果から出現した肺胞細胞による肺繊維芽細胞の賦活作用などを検し、い草染土塵肺症の発症メカニズムを解明せねばならない。 2 現場調査 い草栽培ならびに畳表製織現場を調査した。い草苗の植付作業は冬期の低温作業であり、湿田での手植は機械化による改善が必要である。夏季の炎天下での収穫作業はハーベスタによる機械化が普及しているが、高温環境での熱中症予防対策が必要である。収穫い草を泥染したのち、乾燥い草を乾燥機から取り出すとき作業者は高濃度の粉塵に曝露されている。粉塵の吸入を防ぐため、発塵防止対策と個人防護のマスク着用の徹底が必要である。採取した粉塵中遊離ケイ酸濃度は10数パーセントであった。染土鉱物種のX線解析の結果、石英、緑泥岩、長石、イライト-黒雲母、蛇紋岩、角閃石族がみられた。い草成分をGC-MS法にて分析するとテルペン類の含有が窺われた。ナスハウスで採取したフサリウムを純粋分離し普通プライマーを用いPCR法にてDNA解析をおこなったところ、分離株ごとにDNAシークエンスに若干の違いがみられた。この違いと抗原性発現ならびにい草染土じん肺症に対する修飾作用を調べる必要がある。 3 平成14年度の課題 動物実験や調査を重ね、得られる知見より遊離ケイ酸によるい草染土じん肺症の発症メカニズムの解明と発症に対する浮遊真菌類などの修飾作用を見極めじん肺症予防対策を提言する。
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Research Products
(1 results)