2001 Fiscal Year Annual Research Report
scarless wound healing(瘢痕を残さない創傷治癒)機構の解明:先天性表皮水疱症の治療への応用
Project/Area Number |
13670861
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
今 淳 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (60271798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 康司 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (50322946)
玉井 克人 弘前大学, 医学部, 助教授 (20236730)
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Keywords | 胎児創傷治癒 / 瘢痕 / ヒアルロン酸 / 再生 / 組織工学 / SAGE法 |
Research Abstract |
1)ラット胎児皮膚の器官培養:各胎生期におけるヒロサキヘアレスラット胎児皮膚の器官培養を行った。傷を付け,どの様に修復されるかを観察した。その結果,胎生14日までは瘢痕を形成せず,16日以降は瘢痕を形成するこれまでの報告とほぼ一致する結果を得た。 2)抽出したmRNAのdifferential display(DD)法:14日及ぴ16日ラット胎児皮膚からmRNAを抽出し,^<33>P標識によるDD法を行い,各泳動のパターンを比較検討した。その結果,瘢痕形成がみられない胎生期14日のラットに特異的に増強・発現する,或いは減弱・消失するバンドが14本が検出された。しかし^<33>Pや標識の際に常に問題になる様に,本研究でも十分な再現性が得られなかった。 3)Serial Analysis of Gene Expression(SAGE)法:2)のDD法は,再現性の他,PCR反応の利用のため遺伝子の発現動態が軽度の場合に検出が不可能である。そこで,現時点でこれらの欠点を克服した最も優れた方法のserial analysis of gene expression(SAGE)法を用いることに変更した。しかし,SAGE法では大量のmRNAを使用し,DD法で行った様な傷を付けた部分の皮膚のみ使用していたのではmRNAが微量過ぎて解析が不可能となる。そこで,胎児創傷治癒機構のみられる胎児は,ヒアルロン酸(HA)が高濃度且つ持続的に発現し,しかも実際に創傷部へのHAを外用すると瘢痕形成を軽減することから,高HA環境が本機構成立の重要な要因の一つと位置付け,培養ヒト皮膚線維芽細胞に1.0mg/mlの高濃度になるようにHAを添加し,この細胞を大量に培養,ここからmRNAを抽出して発現する遺伝子すべての発現変動をSAGE法で解析した。その結果,現時点で少なくとも27種類の遺伝子の発現変動が検出された。
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