2002 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛患者における硬膜外脊髄通電による局所脳血流変化に関する研究
Project/Area Number |
13670953
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
矢野 貴徳 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (20315378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 武司 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (70038842)
小玉 隆男 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (40153564)
長町 茂樹 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (40180517)
菅 涼子 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (60325751)
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Keywords | 慢性疼痛 / 硬膜外脊髄通電治療 / SPM |
Research Abstract |
慢性疼痛状態患13例者に対して、硬膜外脊髄通電治療前後に脳血流SPECT検査を施行し、SPM96による統計学的画像解析により疼痛と関連した領域の脳血流変化を評価した。平成13年度のデータでは痛覚側の視床、両側帯状回前部、痛覚側の側頭葉、前頭前野の血流異常が関与すると考えられたが、今回症例を増やし、改善群と非改善群を群間比較することが可能であった。VAS値による除痛効果の関連についても検討した。慢性疼痛状態では、硬膜外脊髄通電治療前後ともに統計画像解析にて、帯状回前部、前頭前野、補足運動野に血流低下が認められ、治療後は特に両側帯状回前部が有意な血流低下部として検出された。一次体性感覚野や二次体制感覚野の異常は認められず、VAS値による除痛効果との明らかな関連は認めなかった。慢性疼痛は、痛みの入力を止める急性疼痛の治療では効果が少ないことが知られている。キシロカインによる除痛治療で脳血流が正常化した症例でも疼痛が改善しなかったことから、除痛効果とは関係なく、慢性疼痛の普遍的な血流異常として疼痛に対する情緒的な反応の調節機構に関与する帯状回前部、前頭前野の血流低下がみられた。このことは慢性疼痛の原因が精神医学的な病態と関連することを示唆するものである。今後は、他の疼痛疾患(癌性疼痛)との類似点、鬱病等との脳血流変化の類似点、さらには予後因子を含めてさらなる検討を加える予定である。
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