児童虐待による心的外傷後ストレス障害および解離性障害の発生頻度と治療に関する研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13671004
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 田中 究 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20273790)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 高田 哲 神戸大学, 医学部, 教授 (10216658) ; 北山 真次 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 ; 前田 潔 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80116251) ; 加藤 寛 兵庫県こころのケア研究所, 研究部長 ; 細澤 仁 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40335451)
• Keywords: 児童虐待 / 心的外傷 / 心的外傷後ストレス障害 / 解離性障害 / 児童養護施設 / スクリーニング調査

Research Abstract

平成13年度には兵庫県児童養護連絡協議会に加盟する全児童養護施設(14施設、収容児総数約900名)の全ての収容児を対象にして、「CDC【子供版解離評価表】」、および観察者による心的外傷後ストレス障害の評価尺度である「CRTS【子供用ストレス反応評価表】」によるスクリーニング調査を行った。回収されたのは670名であった。さらに、家庭児において同様の調査を、年齢性をマッチングさせて行ったサンプルは兵庫教育大学大学院に在学する学生(現職教諭)の協力を得て、彼らの在籍する学校の生徒について、生徒の親の観察によって調査を行った。対象児童総数は1200名であり、回収されたのは360名であった。この解析および、生活状況、養育環境、家庭環境、経済状況および虐待体験の有無、虐待の種類などについて兵庫県こどもセンターの資料および施設の調査資料の提供を受け、ハイリスク児の抽出を行っている。
平成14年度には、これらのハイリスク児に対して個別的に「CAPS-CA【心的外傷後ストレス障害臨床診断面接尺度(児童思春期用)(日本語版)】」を用いて精神医学的評価診断をし、さらに身体医学的診察および診断評価を行う。その結果、治療が必要であると判断されたものには、精神科医、小児科医あるいは臨床心理士による身体医学的および精神医学的治療を行い、経時的に心的外傷後ストレス障害および解離性障害の症状評価を行う。
これら一連の研究によって、児童養護施設収容児および児童虐待を受けたものの心的外傷後ストレス障害および解離性障害の罹患率を明らかにし、家庭児における罹患率と比較しその差異から、その差異と児童虐待を中心とする幼児期、児童期におけるストレスとの関連および、ハイリスク児の治療において、メルクマールとするべき症状を同定し、治療技法によって治療効果の差異を明らかになる。