2001 Fiscal Year Annual Research Report
急性リンパ性白血病における分化転写因子Ikaros発現異常に伴う発癌機構の解析(発症年齢における差異について)
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13671060
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西井 一浩 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (50332713)
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Keywords | 白血病 / Ikaros / 転写因子 / 発癌機構 / リンパ性白血病 / 分子生分学 |
Research Abstract |
リンパ球の骨髄内分化に不可欠と考えられている転写因子であるIkaros遺伝子発現を様々な白血病細胞株を用い検討した。そのなかで急性リンパ芽性白血病細胞由来の細胞株(INC細胞)にIkaros遺伝子発現異常を見出した。塩基配列の検討によりこの異常なIkaros遺伝子は転写因子として最も重要であるところのDNA結合部を欠損しているisoformであることが確認された。事実、INC細胞から抽出した蛋白にIkaros-binding sequenceを持つDNAとの結合は認められなかった。また、転写因子として機能するためには蛋白の核内への移行が必要であるが、この細胞でのIkaros蛋白は細胞質内にのみ認められ、核内には検出できなかった。これらの結果はINC細胞において転写因子である能的なIkarosの欠損が細胞の分化抑制・増殖に寄与している可能性を示唆した。 成人急性白血病細胞を用いた同様の検討でもIkaros遺伝子発現異常(DNA結合部を持たないisoform)の発現は急性骨髄性白血病細胞(20例)、急性T細胞性リンパ芽性白血病(8例)に1例も検出できなかった。一方、B細胞性リンパ芽性白血病では検討した38例中18例にIkaros遺伝子異常を認めた。表現型との関連においてIkaros遺伝子発現異常を認めた細胞はすべてCD19+CD10+でありCD19+CD10-の細胞には検出されなかった。Ikaros遺伝子異常と染色体異常との関連は認められなかった。 成人の正常骨髄内B前駆細胞(CD19+CD10+)をcell sorterにて回収し、Ikaros遺伝子発現を検討したが、異常なisoformの発現は見られなかった。 これらのことはIkaros遺伝子発現異常が白血病細胞に特異的に起こっている現象であり、特にB細胞性の白血病との関連が示唆され、検討中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nishii K, et al.: "Non-DNA-binding Ikaros isoform expressed in adult B-precursor acute lymphoblastic leukemia"Leukemia. (in press). (2002)
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[Publications] Nishii K, et al.: "Successful treatment of low dose splenic irrodiation for massive splenomegaly in elderly Hairy Cell Leukemia patient"Eur J Haematol. 67. 255-257 (2001)
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[Publications] Nakase K, Kita K, Miwa H, Nishii K, et al.: "Expression pattern of hybrid phenotype in adult acute lymphoblastic leukemia"Cancer Detect Prev.. 25. 394-405 (2001)
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[Publications] Nishii K, et al.: "Aggressive neoplastic plasma cell growth with MLL gene rearrangement after high-dose therapy with autologaus stem cell suppovt for multiple myelona"Bone Marrow Transplant. 27. 555-558 (2001)
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[Publications] Nishii K, et al.: "Additional trarslocation +(11:17)(q23:q21)in a patient with Philadelphia-positive mixed lineage antigen-expressing leukemia"Cancer Genet Cytogenet. 126. 8-12 (2001)