2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671112
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
野村 信介 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (20198625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 一郎 重井研究所, 超微病理部, 部長(研究職)
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Keywords | アルポート症候群 / 遺伝性糸球体腎炎 / 進行性腎障害 |
Research Abstract |
【研究実績の概要】 我々は、長年にわたり、アルポート症候群の診断手技(免疫組織学的、および、遺伝子診断)の向上に努めてきた。今回の研究は、それを発展させ、本症の治療を開発するための基礎的研究を最大のテーマとしている。 本年度に実施した主な内容を以下に示す。 1) ヒトのアルポート症候群のモデルであるCOL4A3ノックアウトマウスを入手した。 2) 本研究を実施するに適切な施設(三重大学医学部動物実験施設)で、その動物の飼育を開始した。 3) 抗酸化作用を有するいくつかの薬剤、酵素阻害薬、降圧剤、免疫抑制剤などの投与を行い、それらが本動物の腎障害や腎組織に与える影響を、プラセボ投与群と比較した。 4) まだ統計学的に有意な効果を得るに至っていないが、我々の投与したいくつかの薬剤が、本動物の腎障害を緩和する可能性を示唆する結果を集積しつつある。たとえば、シクロスポリン(免疫抑制剤)を投与すると、平均8週齢で死亡する本動物が、平均10.5週程度まで生存するようになっている。 5) 本症は、免疫学的な機序で発症する糸球体疾患ではないが、ヒトのアルポート症候群においても、この免疫抑制剤の効果があると言われているので、興味ある結果と考えられる。 6) 14年度は、効果を呈した薬剤などの作用機序についても解析したいと計画している。 7) それによって、ヒトのアルポート症候群の進展機序や病態がより明らかになるものと期待される。
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