2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝阻血再潅流による肝微小循環障害発生機序の解明とその防止法の開発
Project/Area Number |
13671278
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (70114105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30282354)
宮内 卓 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60222329)
平野 隆 産業技術総合研究所, 分子細胞工学研究部門, 副研究部門長・総括研究員
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Keywords | 肝微小循環 / エンドセリン拮抗薬 / 肝機能障害 / 類洞血流 / 白血球膠着 / 中心静脈血行 / 胆汁排泄 / 肝酵素 |
Research Abstract |
エンドセリン(ET)受容体拮抗剤は虚血後の肝微小循環を改善させることにより虚血再灌流障害を防止すると考えられているが、その機序や肝機能に及ぼす影響は明らかとされていない。 本研究では虚血後肝微小循環の観察を行いET受容体拮抗剤の微小血管への影響を報告した。ETA、ETB受容体非選択的拮抗剤SB209670(SB)を用いた肝微小循環障害防止効果の評価に胆汁分泌能、肝機能について検討した。【方法】SD雄ラットを1)非虚血群、2)虚血+生食投与群、3)虚血+SB投与群の3群に分けた(n=6)。生体蛍光顕微鏡を用いて微小循環動態を観察した後Pringle法で20分間温肝虚血を施した。虚血解除5分前に生食1.0mlもしくはSB 10mg/kgを各群別に投与した。再灌流60分後および120分後に再び微小循環動態を観察した。また30分毎に胆管カテーテルより胆汁を採取し胆汁量と胆汁成分を分析した。さらに観察終了後採血し血中GOT、GPT、LDH値を測定した。【結果】生食群では虚血後類洞径は有意に収縮(84%)したがSBの投与により類洞収縮が抑制された(91%)。さらにSB群は類洞灌流率を有意に改善させた。同時に類洞内白血球膠着を抑制した。一方で中心静脈では生食群、SB群ともに血管径は収縮し、膠着白血球数は増加した。胆汁量は各群とも再灌流直後に著しく減少したが60分後にはSB群において有意に回復した(非虚血1757, NaCl 1130, SB 2031mg/kg)。さらに胆汁中の胆汁酸量も同様にSB群が多かった。一方で肝酵素はGOT、LDHにおいてはSB群の方が高値を示したが生食群と比べ有意差がみられなかった;GOT(非虚血160, NaCl 747, SB 771 IU/L) ; GPT(44, 525, 448 IU/L) ; LDH(2814, 4597, 7922 IU/L)【結語】SBは肝類洞では虚血後の微小循環障害を防止したが中心静脈では効果を示さなかった。またSBは虚血後の胆汁量の回復を速め胆汁酸排泄を増加させたが、肝酵素の上昇は抑制しなかった。SBの虚血後微小循環への効果は肝内の部位により異なり、また虚血後の胆汁量と肝機能では異なる影響を及ぼすことが判明した。
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