2002 Fiscal Year Annual Research Report
加圧により形成され、自由に曲線に追従できる大動脈用ステント・グラフトの開発―更に一時的留置を目指した生分解性ステント・グラフトの開発に向けて―
Project/Area Number |
13671400
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
神田 圭一 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (60295649)
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Keywords | 大動脈瘤 / ステントグラフト / ステント骨格 / デリバリーシステム / 反復内挿 / 生分解性 |
Research Abstract |
大動脈瘤や大動脈解離など大血管疾患に対するステント・グラフト(以下SG)治療は積極的に治験されているが、現在のシステムでは曲率の高い部位へのSGの追従性の不足とデリバリーに問題がある。我々は全く新しい発想で骨格構造そのものを見直し、拡張を自由に制御できるSGを考案した。この骨格は通常の金属と異なり液体を満たしたチューブからなる。直径30mmポリエステル製人工血管の内面に高分子フィルムからなるチューブバルーン(直径2mm)を螺旋状に裏打ちした構造とする。バルーンの一端に着脱可能な一方弁をつけ完全に虚脱させておくとSGは骨格を持たないので非常に小さく折り畳むことが出来る。中枢の血管から血流に乗せて留置予定部位に移動させた後、カテーテルから液体を高圧で注入するとチューブは出来るだけ直線に近い形をとろうするため、人工血管が円筒型に形成され柔軟な人工血管が、目標とする屈曲・起伏の激しい血管内面に広い面積で充分に密着できると予想された。操作の繰り返しにより理想的な位置決めが可能となる。また一時的留置を目的とした回収式または生分解性の大動脈解離専用SGの開発が可能である。SGの全てのコンポーネントをポリウレタンなどの生分解性材料で作製すれば解難腔及びエントリー部内膜の修復が完成した後にSGそのものが消失することが可能となる。以上の方針でモデルを開発し、in vitroでのSG形成実験を行い初期的に成功を得たが、モックモデルの段階でチューブの加圧による骨格の強度がどうしても不足し、動物実験に値するだけのモデルの作製が出来なかった。種々の材料で色々とチューブ骨格の厚みを変化させたが、理想的な強度を得ることは出来なかった。更にこの設計に適した高分子材料の開発と形成技術が必要であると考えられた。高度の加工技術を要すると考えられ今回の組織では実用に耐えうるものが作製できなかった。
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