Research Abstract |
急性実験においては,オピオイドの種類によって,また投与量によって,テイルフリックテストを用いた疼痛反応において雌雄の差が認められることをこれまでに示した.これらのオピオイド作動薬を投与したとき,脳内でのオピオイド受容体の分布に関しては,性差は認められなかった.また,これらの受容体は,下行性疼痛抑制系の中の延髄服吻側腹内側領域(RVM)や中脳水道灰白質(PAG)においては,密には認められず,側坐核,扁桃核,線条体などに多く認められた.これらは,オピオイドに対する疼痛反応と脳内報酬系との関連を示唆していると思われる.また,サブスタンスPの分布については,雌雄ともに,RVMでは,axon varicosityをもった非常に繊細な神経線維が豊富にみとめられ,PAGにおいてはRVMほど豊富ではないが,やはり非常に細い神経線維が認められた.しかし,CGRPに関しては,下行性疼痛抑制系の中のRVMおよびPAGにおいては,神経線維はまばらにしか認められなかった.SPの疼痛反応における雌雄差は,明らかには認められなかった.雌雄のLong Evansラットを用いて,DAMGOを投与量を変えて投与したときのconditioned place preference(CPP)においては,高用量では,特に性差は認められなかったが,低用量においては,雌のほうが期間中のtail flick testでも明らかに鎮痛効果が強く,ややオスよりもpreferenceを示す傾向が認められた.神経因性疼痛モデルのラットにおいては,DAMGO投与では,あきらかなprefernceを示さなかった.投与量を変化させること,さらに他のオピオイド作動薬,カナビノイドなどの投与まで,本年度進展させることができなかったので,次年度に研究を継続の予定である.
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