2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671668
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
土田 健司 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90311919)
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Keywords | 腹膜透析 / 透析液排液 / 微生物菌体成分 / 腹膜炎 / 硬化性被嚢性腹膜炎(SEP) |
Research Abstract |
腹膜透析患者の透析液排液中の微生物菌体成分を各期にわたって検討したところ以下のような結果が得られた。導入群は15症例に対し、計241回の菌体成分の測定を行った。(endotoxin ; ET)は2名、(peptidoglycan ; PG)は11名、(beta-D-glucan ; BG)は7名で検出され、検出回数はET12回、PG32回、BG31回であった。検出された11名のうち10名がのちに軽症腹膜炎や難治性腹膜炎を発症した。細菌いずれも培養の結果はいずれも陰性であった。維持群は14症例に対し、計126回の菌体成分の測定を行った。PGが4症例で検出され、4症例とも後に腹膜炎を発症した。軽症腹膜炎群の4症例に対し、計28回の菌体成分の測定を行った。そのうちETは1回、PGは4回、BGは6回検出された。4症例とも菌体成分が検出され、ETが検出された症例ではグラム陰性菌が培養された。しかし他の3症例からは培養検査では菌が同定されなかった。難治性腹膜炎群は6症例に対し、計103回の菌体成分の測定を行った。ETは10回、PGは21回、BGは15回検出された。長期群は4症例に対し、計8回の菌体成分測定を行った。PGは3回、BGは4回検出され、頻度的は比較的高い傾向があった。臨床的、画像的に腹膜硬化が疑われる症例において白血球数は100/μl以下、細菌培養検査も陰性であったが、菌体成分の検出頻度が高く、硬化性被嚢性腹膜炎の原因にこの微生物菌体成分の関与が示唆された。 以上から1.導入期ないしは維持期における菌体成分測定は、後に発生する可能性のある腹膜炎を予期できる。2.腹膜炎が発症した場合、原因菌を迅速に同定し治療効果をあげる。3.無菌性腹膜炎、難治性腹膜炎で菌体成分が関与しており、その量も多い場合難治性腹膜炎に発展する可能性が高い。4.硬化性被嚢性腹膜炎の発症・進展に関与している可能性がある。
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