2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671756
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
清塚 康彦 関西医科大学, 医学部, 講師 (30205033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 進 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20291817)
螺良 愛郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (90098137)
仙崎 英人 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10206659)
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Keywords | ovarian cancer / clear cell carcinome / glycogen / chemosensitivity / glucose / hypoxia / hyponutrition / metabolism |
Research Abstract |
1.卵巣明細胞腺癌の抗癌剤感受性が、他の組織型の卵巣癌と比較して低下しているか否かを検討するため、in vitroでの感受性試験を試みた。結果、10種類の抗癌剤に対し、明細胞腺癌はdocetaxel, paclitaxel, etoposide, mitomycin, gemcitabineおよびcisplatinに対し感受性の低下傾向を示したが、統計的に有意な差(p<0.0001)は、docetaxelのみに認められ、明細胞腺癌における抗癌剤治療への低応答性は必ずしも薬剤の直接的な効果によるものではないことが確認された。 2.明細胞腺癌は他の組織型の卵巣癌に比較し、約2.1倍の濃度のglycogenを細胞質に含有しており、また、約1.4倍の倍加時間を示す。Glycogen含量と倍加時間とに正の相関、また、倍加時間と抗癌剤感受性とに負の相関を認めたが、glycogen含量と感受性とには直接的な相関は観察されなかった。 3.Glycogen代謝関連酵素のうち、明細胞腺癌は、glycogen phosphorylase、glycogen synthetaseおよびglucose-6-phosphataseをgeneticに発現していることが確認された。 4.化学療法後の腫瘍組織内環境の変化として血流不足によるglucoseの供給低下を想定して、glucose除去培養での細胞の増殖能を検討した結果、明細胞では平均1.4倍、その他の組織型の癌では平均2.0倍の倍加時間の延長が見られ、明細胞腺癌がhypoglycemiaに対し、よりtolerantであることが推測された。 5.低酸素環境においては、明細胞腺癌はその他の癌腫と同様に増殖が抑制され、両者には差が見られなかった。 卵巣明細胞腺癌の予後不良の原因は、必ずしも直接的な抗癌剤感受性に起因するものではなく、細胞内にglycogenを貯留することによる細胞学的特性が、化学療法後の腫瘍組織内環境の変化に対応する結果である可能性を示した。今後、その具体的な因子と機序の決定が望まれる。
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