2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671806
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
富山 俊一 日本医科大学, 医学部, 教授 (00094665)
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Keywords | 内耳自己免疫 / 内耳抗体 / western blotting / whole gel eluter / 免疫組織化学 / 血管条血管 / 補体C3 |
Research Abstract |
内耳自己免疫傷害機序解明の目的で100%再現性と詳細な免疫学的解析可能な実験的自己免疫性迷路炎近交系マウスモデルを開発した。本年度は同モデルでの内耳抗体機能について検討した。内耳粗抗原(rIEA)の反復感作で誘導された抗体は牛内耳蛋白およびマウス腎、肝、肺、脳蛋白の双方に反応した。この結果、rIEAは臓器非特異的抗原も含むことが判明した。そこで本研究遂行には内耳特異的抗原精製抽出が必須となった。分子量別溶出装置で内耳蛋白を分画採取し、各々の分画蛋白の内耳抗原性を検討した。少量の内耳蛋白を14分画し、各分画蛋白を単回感作した結果、分子量55〜65kDaを含有する内耳蛋白分画感作で明瞭な炎症細胞の内耳浸潤を認めた。次に大容量の分画溶出装置を用いて30分画の多量の同一分画内耳蛋白を採取し、各分画蛋白を反復感作した。結果、分子量52〜62kDaと,54〜64kDaの分画蛋白感作で誘導された血清IgGは牛内耳蛋白60〜70kDaとの単一陽性バンドを発現したが、マウス各臓器蛋白には全く反応しなかった。免疫組織化学的検索ではIgGおよびC3の同時局在を唯一血管条血管内壁に認めた。これらの結果、牛内耳膜迷路蛋白分子量54〜62kDaに内耳特異的抗原の実在を強く示唆した。同免疫疾患の免疫抑制剤治療奏功性は内耳抗体の標的組織として比較的回復性のある組織を示唆する。血管条血管は蝸牛電位の発生源であり、本研究で血管条血管の内耳抗体標的性を示唆する興味深い結果を見た。今後、同分画抗原のプロテオーム解析にて同抗原蛋白の内耳遺伝子との関連性の検討を要する。将来、その特異的抗原ペプチドの構造解明を通し、病態の解明、確定診断、予後診断、治療法の開発が期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 富山俊一: "実験的自己免疫性迷路炎モデル-内耳抗体標的組織の免疫組織化学的検討-"Otol Jpn. 13(3). 180-184 (2003)
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[Publications] 富山俊一: "メニエール病の免役傷害病因"J Nippon Med Sch. 70. 212-218 (2003)
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[Publications] 富山俊一: "実験的自己免疫性迷路炎-内耳粗抗原感作による内耳抗体の臓器特異性-"Otol Jpn. 14(1)(印刷中). (2004)
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[Publications] 富山俊一: "今日の耳鼻咽喉科頭頚外科治療指針 第2版(森山寛, 岸本誠司, 小林俊光, 川内秀之)編集"医学書院. 624 (2003)