2002 Fiscal Year Annual Research Report
自然発症糖尿病モデルラット(WBN/Kob)における増殖性網膜症の研究
Project/Area Number |
13671860
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
松浦 哲郎 摂南大学, 薬学部, 講師 (20268494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 清和 摂南大学, 薬学部, 助手 (40268496)
奈良間 功 摂南大学, 薬学部, 教授 (80268490)
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Keywords | Retinopathy / Diabetic retinopathy / Neovascularization / WBN / Kob / Rat |
Research Abstract |
本年度においては糖尿病ラットの網膜内に血管新生因子の発現が生じているか、また網膜内の微小血管が形態的にどのような変化が生じているかを明らかにする目的で、眼底部の詳細な形態学的解析を実施した。方法としては12カ月齢以上で高血糖が持続した雄WBN/Kobとその対照として同月齢の雌WBN/Kobおよび同月齢の雄F344ラットを用い、片眼について角膜を緩衝液中で切除した後、網膜のみを摘出し、RT-PCRを用いて血管新生因子のRNAレベルを定量的に調べた。また片眼についてパラホルムで固定後、トリプシン処理した網膜内の毛細血管標本を作製し、顕微鏡下で形態計測を行った。 網膜内の血管新生因子の変化としてはアンジオポイエチン2の上昇が、雄WBN/Kobの高血糖期間にほぼ一致して確認された。また、網膜内毛細血管の形態計測としては、雌WBN/Kobで網膜変性の進行に伴って、核の消失と口径の減少を伴う異常血管(Acellular capillary)が増加し、一部の血管にはループ状の走行が認められた。一方75および100週齢の糖尿病発症後の雄WBN/Kobではこれらに加えて、核密度の増加を伴った結節状の膨隆や多数の血管が複雑に錯走する塊状結節が形成されていた。異常血管数は同週齢の雌のWBN/Kobと比較すると明らかに増加した。雄F344ラットでは、ごく稀にAcellular capillaryがみられるのにすぎなかった。 以上の結果から、雄WBN/Kobラットでは、糖尿病の発症後に網膜内の血管新生因子の増加が認められ、また形態的にもヒトの糖尿病患者で報告されている形態と酷似する微小血管瘤が増加していることが明らかになり、雄WBN/Kobにおける微小血管瘤の形成には持続性の糖尿病状態が大きく関与することが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Ozaki, T.Matsuura, I, Narama: "Histochemical and morphological analysis of skeletal muscle in spontaneous diabetic WBN/Kob rat"Acta Neuropathol. 102. 264-271 (2001)
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[Publications] 松浦哲郎, 前野亜紀子, 尾崎清和, 奈良間功: "WBN/Kobラットの網膜および硝子体に認められた増殖性変化"Diabetes Frontier. 12. 806-807 (2001)
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[Publications] 尾崎清和, 松浦哲郎, 奈良間功: "Histochemical and morphological analysis of skeletal muscle in spontaneous diabetic WBN/Kob rat"Diabetes Frontier. 12. 809-809 (2001)
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[Publications] T Matsuura, K.Ozaki, Y Kodama, Y.Kondo, I.Narama: "Proliferative changes in the fundus of diabetic rats (WBN/Kob)"Folia Opthalmologica Japonica. 54・3. (2003)