2002 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞真皮マトリックスを基質とした皮膚のTissue Engineering
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13671883
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高見 佳宏 杏林大学, 医学部, 助教授 (30201601)
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Keywords | Tissue Engineering皮膚 / 複合培養皮膚 / 無細胞真皮マトリックス |
Research Abstract |
本研究は臨床使用に適したTissue Engineering皮膚(複合型培養皮膚)の開発を目的とするものである。平成13年度の研究で確立した無細胞真皮マトリックスヘの細胞の組み込みを発展させ、今年度は実際の臨床応用を含めて、以下のような結果を得た。 (1)複合型培養皮に適した無細胞真皮マトリックス(Acellular Dermal Matrix : ADM)の開発:種々の方法で作成しADMと表皮細胞の接着性を検討した結果、表皮真皮境界部に残存する基底膜成分が接着性を高める事が確認された。このことから複合型培養皮膚に適したADM作成法としては高張食塩水処理を基本とすることとした。(2)複合型培養皮膚における線維茅細胞の役割:ADM上での表皮細胞の培養特性と線維芽細胞の有無との関連を検討した結果、線維芽細胞は表皮細胞の増殖と重層化には影響を与えないことが示された。ADMを基質とした複合型培養皮膚における線維芽細胞の役割について、今後さらなる検討が必要である。(3)複合型培養皮膚の作成:これらの基礎研究を踏まえて、ADMを基質とした複合型培養皮膚を作成した。表皮細胞をADMの上層面、線維芽細胞を下層面に組み込み、共通の培地で4日間培養した。その後培地の血清濃度を上げて分化を誘導しながら、表皮層を重層化させるためにADMの表層を気相に暴露させ、さらに数日培養した。こうして作成した複合型培養皮膚の組織学的検討を行い、約5層に重層化した表皮層、表皮分化の程度、基底膜の残存、線維芽細胞の遊走を確認した。(4)ADMを基質とした複合型培養皮膚の臨床応用:説明と同意の下、重症熱傷患者の残存皮膚の一部から表皮・線維芽細胞を分離培養し、ADMを基質とした複合型培養皮膚を作成した。これを同患者の熱傷創に移植し、完全生着を得た。今後早期にADMを基質としたTissue Engineering皮膚の完成を目指したい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] YOSHIHIRO TAKAMI et al.: "Gene expression of fibroblasts derived from hypertrophic scar using DNA chip"Wound Repair and Regeneration. 10.6. A18 (2002)
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[Publications] MIN YAO, YOSHIHIRO TAKAMI et al.: "Identification, isolation and sorting of human keratinocyte stem cells"Wound Repair and Regeneration. 10.2. A63 (2002)
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[Publications] 高見佳宏 他: "表皮細胞と線維芽細胞からなる混合培養シートの創傷治癒における効果"熱傷. 28.4. 273 (2002)