2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯と顎骨の発生・成長に及ぼす環境ホルモンの影響に関する組織発生学的研究
Project/Area Number |
13671923
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
田中 秀 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (40089389)
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Keywords | 環境ホルモン / ビスフェノールA / 胎生期暴露 / 歯 / 顎骨 / 精巣 / ラット |
Research Abstract |
母体に投与されたビスフェノールAの胎生期暴露が、新生仔の歯や顎骨および性腺の発生・成長に及ぼす影響を明らかにする目的で以下の実験を行った。松尾ら(2001)の方法に従い、オリーブ油に溶解したビスフェノールA(P, P'-イソプロピリデンジフェノール標準品、和光純薬)を実験群には、10mg/kg,100mg/kg,500mg/kgの割合で、対照群にはオリーブ油のみを妊娠13日目から19日目までの7日間、強制経口投与した。出生した仔ラットを生後13日目にエーテル麻酔下で、10%中性ホルマリンにて灌流固定を行った。次に、正中断された頭部を軟X線撮影し、顎骨ならびに歯の形成状態を観察した。また、雄性仔ラットからは精巣を摘出し、その重量を計測した。さらに、一部の個体は、2.5%グルタールアルデヒドにて灌流固定を行ない、下顎臼歯の歯胚を摘出し、エナメル質、象牙質などの硬組織の形成状態を透過型電子顕微鏡を用いて観察した。 投与期間中の母ラットの体重増加率は、対照群で最も大きく500mg/kg群で最も小さかったが、その差は統計学的に有意ではなかった。 生後13日目の仔ラットの体重について、同腹仔の雌雄間ではいずれもオスが大きい値を示した。また、投与量別に見ると、10mg/kg群が最も大きく500mg/kg群が最も小さかった。 体重に占める精巣重量の割合は、500mg/kg群が0.18%で対照群および100mg/kg群より有意に小さかった。次年度は、精巣の組織切片を作成し、各群の精子の形成能について検索する予定である。 また、軟X線像による観察では、顎骨を始めとする頭蓋骨の形成状態、上・下顎の切歯と臼歯の形成ならびに石灰化状態には実験群と対照群との間に顕著な差は認められなかった。さらに、透過型電子顕微鏡によるエナメル質ならびに象牙質の形成状態においても各群間に顕著な差は認められなかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Tanaka, K.Kawasaki: "On the incremental lines of human dentine"The 8th International Symposium on Biomineralization "Biomineralization": formation, diversity, evolution and application. (Program and Abstract). 114-115 (2001)