2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者静脈内鎮静法における動的平衡機能の回復に関する研究
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13672073
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤澤 俊明 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (30190028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 忍 北海道大学, 歯学部・附属病院, 医員
福島 和昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00002361)
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Keywords | 動的平衡機能 / 静脈内鎮静法 / 高齢者 / ミダゾラム / 回復 / 精密検査 / 簡易検査 |
Research Abstract |
ミダゾラム静脈内鎮静法からの平衡機能回復について、重心の移動を伴う動的平衡機能検査と従来の静的平衡機能検査の比較を中心に検討した。さらに、精密動的平衡機能検査と相関性の高い簡易検査の同定も試みた。 本年度の対象は20〜27歳の青年男性ボランティア20名で、ミダゾラムを0.07mg/kg静注後、40分、60分、80分、100分、120分において、各種平衡機能検査を施行した。機器を用いる精密検査としては、意図的に重心を動かす平衡機能検査であるLimits of Stability test、意図せぬ動揺刺激下での重心動揺検査である動揺床上立位検査、従来の安静直立下重心動揺検査を行った。また、簡易平衡機能検査としては、10mを出来るだけ早く歩行する際の所用時間を測定し、平衡機能も含めた運動機能を評価する最速歩行テスト、従来の、ロンベルグテスト、単脚直立テスト、マンテストを施行した。検討方法としては、1)各時点での平均値がミダゾラム投与前のbaselineに戻るまでの時間をrecovery timeとして比較し、さらに、2)baseline値との差が1割以内になった症例を回復症例とみなし、その回復症例数の母集団(n=20)に対する割合を比較した。その結果、recovery timeは、Limits of Stability testにおいては安静直立下重心動揺検査と同じ60分であったが、動揺床上立位検査では、80分であった。最速歩行テストでは、回復症例の割合がミダゾラム投与後60分、80分、100分で、それぞれ、30%、60%、100%であり、動揺床上立位検査でのそれ(60分 : 20%、80分 : 50%、100分 : 95%)と近似した。さらに、baseline値との差が一割以内に回復する時間が両検査において一致する症例が13例認められた。 以上、動揺床上立位検査は従来の静的検査より回復が遅く、本検査は、鎮静法後の帰宅歩行時の転倒防止を念頭に置いた、合目的的な平衡機能検査であると思われた。また、最速歩行テストは、日常臨床で応用しうる有用な簡易運動検査であると思われた。
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