2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者静脈内鎮静法における動的平衡機能の回復に関する研究
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13672073
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤澤 俊明 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (30190028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 忍 北海道大学, 歯学部附属病院, 医員
福島 和昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00002361)
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Keywords | 動的平衡機能 / 静脈内鎮静法 / 高齢者 / ミダゾラム / 回復 / 精密検査 / 簡易検査 |
Research Abstract |
61〜74歳(平均68.4歳)の老人男性ボランティア18名を対象に、ミダゾラム静脈内鎮静法からの動的および静的平衡機能回復について、前年度の青年男性ボランティアでの結果との比較も交え、検討した。さらに、高齢者における、精密動的平衡機能検査と相関性の高い簡易検査の同定も試みた。 前年度同様、閉眼するも呼びかけに応じる程度の鎮静を目安に4-5分かけて分割投与したミダゾラム投与量は、0.04±0.0083mg/kgで、青年群の約6割であった。投与終了後、経時的に各種平衡機能検査を施行した。 その結果、予測できない外乱刺激を用いた動揺床上立位検査、Timed up and go test (椅座位から起立、5m前方のマーカーを回り最速で往復歩行し、着座までの所要時間を測定、以下、TUG test)の回復時間は、いずれも80分であり、静的平衡機能検査のそれ(40-60分)より遅延した。この回復時間80分は、青年群のそれと同様であり、これは、高齢者において、薬力学的効果による投与必要量減少が、薬物動態学的効果による代謝遅延を相殺した結果であると推測した。TUG testにおいて、対照値との差が1割以内になった症例を回復症例とみなした際の、その回復症例数の母集団(n=8)に対する割合は、ミダゾラム投与後60分、80分、100分で、それぞれ、56%、89%、100%であり、動揺床上立位検査でのそれと近似した。 結論:(1)動揺床上立位検査は、高齢者において、ミダゾラム静脈内鎮静法の平衡機能抑制作用を鋭敏に検出する優れた検査法と思われた。(2)TUG testは、高齢者に対して、日常臨床で応用しうる有用な簡易動的平衡・運動検査であると思われた。(3)青年より動的平衡機能が低下している高齢者に対しても、至適鎮静が得られるよう注意深く分割投与すれば、静的平衡機能同様、動的平衡機能においても、対照値への回復時間は80分と、青年群と差がないことが判明した。
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