2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における1/20万エピネフリン投与後の循環動態変動と血中濃度の推移
Project/Area Number |
13672107
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
椙山 加綱 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 教授 (50124772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 愛子 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 助手 (50343372)
横山 幸三 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 助教授 (80191518)
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Keywords | 高齢者 / エピネフリン / ノルエピネフリン / ドパミン / 循環動態 / 歯科用局所麻酔薬 / 血管収縮薬 |
Research Abstract |
高齢者の全身麻酔下口腔外科手術において、1/20万エピネフリン添加0.5%リドカインの投与が循環動態および血中濃度に及ぼす影響について検討した。 全身麻酔下において口腔外科手術を予定された65歳以上の高齢患者を対象として、手術室入室30分前に麻酔前投薬を行なった。入室後、血圧、心電図、パルスオキシメータ、連続指血圧測定装置Portapres Model 2を装着した。気管内挿管後、呼吸循環動態が安定したのちに1/20万エピネフリン添加0.5%リドカインを浸潤麻酔し、循環動態を計測するとともに、足背動脈に留置したキットから動脈血を採取してカテコールアミン3分画の血中濃度を経時的に測定した。 その結果、血中エピネフリン濃度は、注射前0.018±0.012ng/ml、80秒後0.069±0.034ng/ml、120秒後0.094±0.035ng/ml、300秒後0.173±0.079ng/mlと経時的に上昇した。血中ノルエピネフリン濃度は、注射前0.283±0.100ng/ml、80秒後0.296±0.112ng/ml、120秒後0.303±0.113ng/ml、300秒後0.292±0.104ng/mlと有意な変動を示さなかった。血中ドパミン濃度は、注射前0.014±0.003ng/ml、80秒後0.015±0.005ng/ml、120秒後0.014±0.004ng/ml、300秒後0.015±0.004ng/mlと有意な変化を認めなかった。 本研究結果から、高齢者に1/20万エピネフリン添加0.5%リドカインを浸潤麻酔した場合、血中エピネフリン濃度は300秒後まで経時的に上昇することがわかった。これは循環動態が安定化した後も血中エピネフリン濃度はさらに上昇することを意味しており、歯科用局所麻酔薬を追加投与する時間を循環動態の変動のみから決定することは危険であることを示唆している。
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