2002 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント歯周炎の病原因子としての細菌バイオフィルムの解析
Project/Area Number |
13672184
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野杁 由一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50218286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50116000)
|
Keywords | インプラント周囲炎 / バイオフィルム / インプラントサルカス / 免疫組織化学 / Porphyromonas gingivallis / 歯周病原性細菌 / グルコン酸クロルヘキシジン / クローニング |
Research Abstract |
インフォームドコンセントを十分に行い,同意の得られた患者を対象として,重度インプラント歯周炎に罹患した8本のインプラントより薄切切片を調製し,バイオフィルムを組織学的に観察するとともに,Porphyromonas gingivalis, Prevotella intermedia, Fusobacterium nucleatumおよびCampylobacter rectusに対する特異抗血清を用いた酵素抗体法による免疫染色を施し,バイオフィルム形成細菌種を検索した.組織学的検索の結果,バイオフィルム細菌の感染経路が、インプラントサルカスの他、アバットメントスクリュー周囲からの内部漏洩であることが明らかとなった。免疫組織化学的検索の結果,P. gingivalisを含め使用したいずれの抗体にも陽性反応はみとめられず,現状ではこれらの細菌種は,成人性歯周炎の進行には関わっているがインプラント周囲炎にはあまり関与していないことが示唆された.現在サンプル数を増やし,継続して検索中である. また,従来の報告でインプラント周囲炎との関連が示唆されているP. gingivalisのバイオフィルムを作製し,1)生物学的(ATP)活性,2)バイオフィルム形成に関与する遺伝子,ならびに3)薬剤感受性の3点について検討した.バイオフィルム内のP. gingivalisの増殖速度は浮遊状態のP. gingivalisの1/30万であること,グルコン酸クロルヘキシジンがP. gingivalisバイオフィルムに感受性があることを解明した他,緑膿菌のバイオフィルム形成に必須であるpolyphosphate kinase(ppk)遺伝子のP. gingivalisホモログの検索よりP. gingivalis ppk遺伝子をクローニングすることに成功した.P. gingivalis ppkとEscherichia coli pplとの相同性はアミノ酸レベルで35.8%とよく保存されていることが明かとなった.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 成松雅博: "歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisバイオフィルムの生物学的活性の評価およびバイオフィルム関連遺伝子の検索"Bacterial Adherence & Biofilm. 15. 8-13 (2002)
-
[Publications] Noiri Y., et al.: "Participation of bacterial biofilm in refractry and chronic periapical periodontitis"Journal of Endodontics. 27・10. 679-683 (2002)
-
[Publications] 成松雅博: "Porphyromonas gingivalisのputative glycosyltransferase geneのクローニングおよびバイオフィルム形成における役割解析"Bacterial Adherence & Biofilm. 16(印刷中). (2003)
-
[Publications] Noiri Y., et al.: "Effects of chiorhexidine, minocycline and metronidazole on Porphyromonas gingivalis strain 381 in biofilm"Journal of Periodontology. 74(印刷中). (2003)
-
[Publications] 恵比須繁之(分担執筆): "バイオフィルム(Bacterial Biofilm):最近話題の用語-知っておきたい豆知識-"小児科. 増刊号特集(印刷中). (2003)