2002 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血幹細胞移植患者の口腔管理法確立のための基礎研究
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13672186
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷本 一郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00280686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 英雄 岡山大学, 歯学部附属病院, 講師 (70222718)
明貝 文夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50263588)
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00274001)
峯柴 史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90346461)
成石 浩司 岡山大学, 歯学部附属病院, 助手 (00346446)
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Keywords | 末梢血幹細胞移植 / 易感染性宿主 / 口腔管理 / 歯周疾患 / 細菌検査 / 白血球数 |
Research Abstract |
本院第二保存科受診の悪性血液疾患・悪性腫瘍患者のうち,PBSCT予定患者12名の免疫能および歯周炎の状態を把握するために1)白血球数,2)歯周ポケット測定検査,3)血清抗体価の測定および4)歯周病細菌の検出を行った。 12名中6名の被験者で白血球数は正常値(3500-8000個/μl)以下であった。歯周ポケット測定検査では,11名が4mm以上の歯周ポケットを有していた。血清抗体価の測定では,10名が歯周病を有さない者に比べPg(Porphyromonas gingivalis)あるいはPi(Prevotella intermedia)の歯周病細菌に対して2SDを越えて高い抗体価を示した。また,9名の被験者において,歯周ポケットからPgあるはPiを検出した。すなわち,11被験者が歯周病に罹患していた。これらのデータおよび歯周組織の臨床所見について,全身疾患を有さない歯周病患者のデータと比較したところ,白血球数の減少以外は有意な差はなかった。 12名の被験者にブラッシング指導および歯周ポケット内の感染源除去を行い,医科にてPBSCTを施した後,歯周治療の効果を調べるために再度上記の検査を行った。その結果,術後菌血症等の合併症を併発した者はなく,12名被験者中11名の白血球数は正常値内に回復した。また歯周治療後,4mm以上の歯周ポケットを有する患者は3名,血清抗体価が減少した者は11名,PgあるいはPiが検出された者は2名であり,すべての被験者において歯周炎は改善された。 全身疾患を有さない歯周病患者に歯周治療を施すことなく放置した場合,明らかに歯周炎は進行する。一時的とは言え免疫能が著しく低下する歯周病患者の場合,その進行は急速であり,免疫抑制時歯周病細菌に起因する菌血症が併発することも考えられる。今回の研究において,すべての被験者でPBSCT施行後も菌血症が併発せず,かつ口腔内の状態も改善されたことはPBSCT施行前の歯周治療が功を奏したに違いないと考える。治療の際には,歯周病の感染の指標としてポケット内細菌検査・歯周病原性細菌に対する血清抗体価,易感染性の指標として白血球数を参考にしたことが,良好な結果に結びついたと考える。
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Research Products
(1 results)