2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子DNAのゆくえが、染色体上in situで視覚的に識別可能な教材の開発研究
Project/Area Number |
13680201
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高橋 ちぐさ 鳥取大学, 教育地域科学部, 助教授 (00226846)
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Keywords | 遺伝子DNAの教材化 / in situハイブリダイゼーション / 染色体ペインティング / ゲノム / 体細胞分裂 / 減数分裂 |
Research Abstract |
1.ドライ・ラボ教材の作成 教育現場で,実際の実験が困難な場合でも効果的な学習を行う目的で,今年度もドライ・ラボ教材を作成した.昨年度は,染色体組を両親のゲノムに分けていくプロセスで親から子への遺伝子の伝達を理解させる教材を作成・発表したが,今年度は,さらにそのF1個体の減数分裂時に起こる現象を,GISH像を用いて理解させる教材を作成した.具体的には,減数分裂細胞において染色体数2nの母細胞からnの娘細胞(配偶子)が形成される過程で染色体におこる分配・伝達のための動態,すなわち減数分裂時に,染色分体間で組換えが生じている事実を,部分的に異なる色で染め分けられた染色体像を用いることで,わかりやすくしかも明確に理解させるねらいで教材を作成した.開発した教材を用いて授業実践を試みた結果,生徒からは,視覚的に判断できることで,染色体の対合・分離と乗りかえの双方が正確に易しく理解できたとの感想が得られ,生徒にとって,減数分裂時の染色体におこる分配・伝達の過程で起こる動態理解に有効な教材であると判断され,学会誌(生物教育)へ発表した. 2.ISH実験によるデータ取得および発表. 本研究ではこれまでゲノミックDNAをプローブとしたGISHによるデータを取得・利用してきた.今年度は,ゲノミックDNAから,人工合成したプライマーを用いてリボソームDNAを増幅し,これをプローブとしたin situハイブリダイゼーション(ISH)も行った.実験により明らかにされた結果は理学的データとして学会誌(Plant Research)に発表したが,従来の染色体を一色に染める方法に比べると無理のない理解が図れることから,染色体上のISHシグナル位置の変異から染色体の構造変異による進化を解く教材としても,有効利用できるものとなった. 3.マニュアルの印刷. 学生・生徒実験用に,方法論に留まらず、それぞれの実験過程の持つ意味についても詳しく丁寧な解説をつけた実験書(冊子)を作成した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takahashi, C.: "Physical mapping of rDNA sequences in four karyotypes of Ranunculus silerifolius (Ranunculaceae)."J.Plant Res.. Vol.116No.4. 331-336 (2003)
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[Publications] 高橋ちぐさ: "減数分裂教材の開発-GISH法を用いて染色体数還元および組換えの視覚的理解を図る-"生物教育. 第44巻1号. 2-9 (2003)