2003 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータを含み込む学習環境が生み出す参加者間の水平的・垂直的相互作用の分析
Project/Area Number |
13680250
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
東原 文子 聖徳大学, 人文学部, 講師 (60272150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 永一 聖徳大学, 人文学部, 教授 (10237175)
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Keywords | 社会的相互作用 / コンピュータ利用教育 / 学習環境 / 会話分析 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
この研究も3年目となり、観察場面のセッティングを大きく発展させた。まず、「垂直的相互作用」に関しては、発語の乏しい知的障害児と大人の支援者との相互作用を観察対象とした。また、「水平的相互作用」に関しては、聴者と聴覚障害者の相互作用を観察対象とした。それらの研究により、これまでの「健常の母子」「健常児同士」といったセッティングに加え、より相互作用が困難と思われる場面においても、コンピュータが参加者の意図の代弁者・通訳者としての役割を担うことが示された。 研究1では、養護学校で、コンピュータゲームをしている無発語の知的障害幼児と教師やボランティア学生を観察した。教師が画面を見て対象児の行動を言語化することにより、初めは対象児の意図がわからなかったボランティア中学生も、対象児の気持ちを徐々に理解できるようになった。 研究2では、知的障害の中学生女子2名を対象とし、ビーズアートや作文の活動をする前にコンピュータを利用し計画をたて、その際の支援者の発話により対象児の行動がどのように変化していくかをイベント・サンプリング法により分析した。いずれも発語のほとんどない対象児であったが、コンピュータを使用することで、支援者と一緒に考えながら、試行錯誤を繰り返し課題に取り組むことができた。 研究3では、手話を用いる聴覚障害の学生(M)と手話を習得していない聴音(H)の2人の、アニメーション制作ソフトを用いた共同活動のビデオ記録から、発話と行動をカテゴリー分類して分析した。その結果、2人の会話の内容(教示、相談、助言等)は対等で、障害を理由とする上下関係は存在しない(水平的相互作用)が、コミュニケーション手段に違いがあることがわかった。2回の調査を通して手段の変化があまりないMに対して、Hは時と場合に合わせて多種多様な手段(指差し、大きく口をあけて話す、手話など)を使うことができるようになった。
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Research Products
(1 results)