2002 Fiscal Year Annual Research Report
韓国語話者のヴォイス習得の要因とヴォイス教育―JFLとJSLの環境におけるfollow-up study-
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13680353
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
田中 真理 電気通信大学, 留学生センター, 助教授 (20217079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 聡 電気通信大学, 留学生センター, 助教授 (00202060)
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Keywords | 韓国語話者 / 第二言語習得 / 第二言語としての日本語 / ヴォイス / 使役受身 / 受益文 / 持ち主の受身 / 視点 |
Research Abstract |
本研究は、由中(2001)の学位論文(英語、韓国語、中国語、インドネシア語・マレー語話者の日本語の視点・ヴォイスの習得)において韓国語話者が他の母語(L1)話者とは異なる傾向を示したことに注目したものである。対象を韓国語話者に絞り、新たに韓国でも調査を行い、ヴォイスの習得におけるL1の役割、学習環境(韓国と日本)、学習者の心理言語学的な側面について検討するのが目的である。 14年度は、韓国及び日本における追跡調査を全て完了した。一部の学生にはL1調査、インタビューを実施し、日本語母語話者によるベースラインデータも完成した。データは、韓国で約120名(そのうち20名は目本滞在経験が1ヶ月以上あるのでデータから排除)集まったが、追跡調査ができたのは17名のみであった(多くが途中で留学)。日本では日本語学校及び日韓理工系予備教育の学生約155名のデータを収集、約95名に追跡調査が行えた。データは現在分析中であるが、以下のことが既に分かっている。 (1)韓国語の視点・ヴォイスの習得状況は他のL1話者に比べて有意によい(田中,2001)。 (2)しかし、韓国語にない「使役受身」は上級レベルでも生成されない。 (3)韓国語と一致する「持ち主の受身」は初期から生成され、その後も習得状況が安定しているが、一致しない「持ち主の受身」は習得が遅れる。 (4)韓国語には「てくれる」はあるが、「てもらう」はない。他のL1話者では「てくれる」の生成が先行するのに対し、韓国語話者では「てもらう」が好んで使われる傾向があり、転移の傾向は認められない。 (5)韓国語では視点制約(話者が主語に立つ)は働かないが、視点統一のための直接受身は早くから使用される。 以上より、L1にない言語形式の習得は遅れるが、その概念のあるものの習得は容易であること、しかし、類型論的な要因や言語形式の複雑さ等の要因の関わっていることが予想される。今後、L1とL2の対応に注目した習得順序の提出(統計分析)と追跡調査による実際の出現順序の比較を行う予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田中真理: "ヴォイスの習得:L1とL2 proficiencyの観点から"第12回第二言語習得研究会全国大会 予稿集. 4-15 (2001)
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[Publications] 田中真理: "日本語の「視点」の習得:英語,韓国語,中国語,インドネシア語・マレー語話者を対象に"Conference Handbook : Third InternationalConferece on Practical Linguistics of Japanese. 71-74 (2002)
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[Publications] 田中真理: "Oral Proficiency Interviewに現れた受益表現-定型表現に注目して-"多摩留学生センター教育研究論集. 3号. 1-12 (2002)
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[Publications] 田中真理: "第二言語としての日本語における「視点」の関係するヴォイスの習得順序"言語科学会 第四回年次大会ハンドブック. 126-131 (2002)
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[Publications] 田中真理: "南雅彦・浅野真紀子編『言語学と日本語教育』III くろしお出版"日本語の「視点」の習得:英語,韓国語,中国語,インドネシア語・マレー語話者を対象に(予定). (2003)