2001 Fiscal Year Annual Research Report
同一視野内に短時間呈示される色相の異なる文字・図形情報の知覚・認知に関する研究
Project/Area Number |
13680496
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
岡林 繁 名城大学, 都市情報学部, 教授 (20278328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉江 昇 名城大学, 理工学部, 教授 (30126867)
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Keywords | 表示 / 色彩 / 自動車 / 認知 / 輝度 / 空間周波数 / ディスプレイ / 視覚 |
Research Abstract |
本年度は,従来データの分析,実験室実験系の構築,実験室定量実験の実施,及び後述する「色相の差異による知覚の不均一」の原因として設定した色相別空間周波数仮説について検定の実験を行った.結果は論文としてまとめ投稿準備している.以下に主な成果を概述する. 1.多色表示装置を搭載した車両を運転した多くのドライバからの「赤色表示像は緑色表示像よりよく見える」と言われる報告内容は,自動車ドライバの視環境の分析により,表示像のコントラスト比が走行条件等で低くなる条件で発生することを明らかにした.これを本研究では「色相の差異による知覚の不均一」と定義した. 2.同一画面に同一輝度条件で複数の多色表示像を呈示し,「色相の差異による知覚の不均一」を,情報認識の指標として認識正答率を用いて実験室実験で評価すると,赤色表示像の認識正答率が,緑色や青色表示像に比較して,数倍から10倍良好となるという結果を得,「色相の差異による知覚の不均一」が実験室実験でも定量的に実証できた. 3.視感度特性に矛盾するように見える「色相の差異による知覚の不均一」を,色相別空間周波数特性という観点から実験評価した.結果,輝度を規定している視感度曲線は空間周波数的には低周波成分での感度特性を表現しており,表示像情報の認識特性は,表示像の高周波成分での感度特性が大きな規定要因である実験結果を得た. 4.自動車用多色表示装置設計ガイドラインとして,空間的に微細構造を有する表示像には赤色系表示色を,空間的に粗い表示像には緑色や青色を用いることが望ましいことがわかった. 本年度は三原色を中心に実験したが,次年度は,任意の色相の表示像について三原色での空間周波数特性から数式的に導出可能なのか,あるいは個別に色相ごとの評価実験が色相ごとに必要となるのか,また,視覚情報の情報処理モデル構築等について実験考察していきたい.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 岡林 繁, 和田隆, 杉江昇: "自動車用多色表示装置における色相と輝度が情報受容へ与える影響"名城大学総合研究所紀報. 第6号. 199-203 (2001)
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[Publications] 和田隆, 岡林繁, 杉江昇, 畑田豊彦: "Perception of Multi-color Display Images in Automotive"Proceeding of IDRC. No.21. 1711-1714 (2001)
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[Publications] 岡林繁, 和田隆, 杉江昇, 畑田豊彦: "Driver's Perception of Images in Automotive Multi-color Display System"9^<th> IRC on Vision in Vehicle. No.9. 32-36 (2001)
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[Publications] 岡林繁, 山崎晃範, 杉江昇, 畑田豊彦: "自動車用HUDにみる「三次元的に空間に位置する視距離が異なる視対象の認識」-眼球の共同運動と輻輳運動による協調的視覚情報抑制効果"都市情報学研究. No.5. 101-106 (2001)
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[Publications] 深野純一, 岡林繁: "自動車用ディスプレイ"財)光振興協会 光技術動向調査委員会報告書. 13.3. 129-131 (2002)
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[Publications] 鈴木淳也, 佐川雄二, 杉江昇: "音と映像の組み合わせによる主観的印象の変化"映像情報メディア学会誌. Vol.55(7). 1053-1057 (2001)
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[Publications] 映像情報メディア学会編(岡林繁分担執筆): "電子情報ディスプレイハンドブック"培風館. 560(10) (2001)