2002 Fiscal Year Annual Research Report
都市・地域問題解決のためのネットワーク型ゲーミング・シミュレーターの開発
Project/Area Number |
13680518
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
兼田 敏之 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10192543)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼尾 正行 東京工業大学, 大学院・情報処理工学研究科, 助教授 (30198551)
|
Keywords | 合意形成 / 迷惑施設立地問題 / ゲーミングシミュレーション / 社会的費用便益分析 |
Research Abstract |
本研究では、多種多様な役割からなる構造を有し、相互に複雑な拮抗関係にある多様な主体から構成される社会システムに対し、その社会システムの構造刷新を意図した創造的な提案が受け入れられ、社会システムが自己変革を行なうための「合意」の形成要件を探る技法として、ゲーミング・シミュレーションを取り上げる。この状況は、多主体複雑系(Poly-Agent System)としてモデル化される。この状況の特徴は、提案時においてその全体的意図や、各主体への影響が定まらない(あるいは各主体間の認知バイアスが著しく大きい)点にあり、そのモデル化の際には、既存の合意形成の理論モデル、すなわち(1)随意(利益参画)状況のモデルや、(2)不随意(損失分担)状況のモデルとは異なる、いわば「創造的合意形成」をどのように扱うかが重要となる。そこで本研究は、都市・地域計画づくりで生じるこのような合意形成状況事例に関するゲーミング・モデルを扱い、統制環境下における合意形成の実験・分析が可能なネットワーク型ゲーミング・シミュレーター(NSG)を開発して、研究室に常設する。その上で都市問題・地域問題を事例として新たに設計したゲーミング・モデルを実装し、テスト・プレイを行ないながら知見の積み上げを図る。 今年度は前年度に引き続き、ネットワーク型ゲーミング・シミュレーターの整備開発を行うとともに、この上で稼動することを想定した都市・地域問題事例の「コンテンツ」事例モデルの整理を主に行った。事例モデルとして、ここでは、迷惑施設立地を取り上げた。この立地問題において必要なことは、公共性・複数候補地・受益者近接立地・住民参加の原則に基づくことである。そこで今年度は、現在産業廃棄物中間処理施設(以下中間処理施設)立地が予定されている愛知県春日井市松河戸町をケーススタディとして、社会的費用便益分析を用いることによってより規範的な立地解を探るモデルの構築を行った。
|
Research Products
(2 results)