Research Abstract |
真空中でのグラファイトターゲットをKrFエキシマレーザ(λ=248nm),YAGレーザ基本波(λ=1064nm),及び第二高調波(λ=532nm)によりアブレーションし,カーボンプラズマプルーム生成した。プルーム中のC_2密度分布,C原子,C^+密度をそれぞれ2D-LIF法,スペクトル吸収法,イオンプローブ法により計測した。KrFレーザによるプルーム中にはYAGレーザ(基本波,第二高調波)の場合と比較して,3J/cm^2と低いレーザフルエンスにおいてもC^+密度が高く,一方,吸収法による基底準位のC原子はほとんど検出されなかった。また,レーザフルエンス6J/cm^2とし,C_2LIFスペクトルのドップラー幅から求めた励起温度は,KrFの場合約10eVであるのに対し,YAGレーザの場合の約3eVであった。またC_2の飛翔速度はKrFの場合6.6x10^3m/sで,YAGレーザの場合の4.7x10^3m/sよりも大きい値が得られた。これらの理由として,KrFレーザの波長がC:3s^1P_1 -2p^1S_0(λ=247.87nm)の遷移に非常に近いため,C原子によるレーザエネルギーの吸収によって励起,電離が効率よく行われたと考えられる。長波長のレーザにおいても,レーザフルエンスが50J/cm^2以上と大きい場合,KrFレーザと同程度のイオン生成が観測された。またKrFレーザとYAGレーザでは,生成されるC_2密度分布が大きく異なることがわかった。この原因はターゲット表面でのKrFとYAGレーザのビームパターンの違いによるものであることがわかった。 Si基板に堆積させたDLCのESR, XPSによる分析の結果,KrFレーザで作製した膜はYAGレーザによるものよりもsp^3/sp^2比が大きく,よりダイヤモンドに近い膜が得られた。一方,AFMによる膜表面測定結果では,KrF, YAGレーザともにレーザフルエンスが大きいほど,より平滑な膜が得られ,波長が長いレーザほど,膜表面は平滑になった。膜の平滑さを高めるには,堆積するカーボンクラスタがある程度大きく,しかもその運動エネルギーが大きいことが必要であることがわかった。
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