2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680807
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
荒木 正介 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00118449)
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Keywords | 網膜再生 / イモリ / 色素上皮 / ニューロン / 脈絡膜 / 器官培養 / FGF / IGF-1 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イモリ網膜再生の分子メカニズムを明らかにするために、網膜再生を再現できる器官培養システムを構築することと、その培養システムを応用して網膜再生に関わる分子を明らかにすることである。すでに前年度の成果として、色素上皮を脈絡膜(結合組織)から分離しないで培養することと色素上皮単独で培養することに成功し、両者を比較検討することによって、色素上皮の増殖とニューロン分化には脈絡膜が必要であることを実験的に明らかにした。このことは、生体における網膜再生にも脈絡膜が重要な役割をもつことを示している。そこで、本年度は脈絡膜と色素上皮間にどのような分子相互作用が関与しているかを研究するために、以下のような実験をおこなった。 1)色素上皮と脈絡膜を有孔膜フィルターではさんで培養し、色素上皮の増殖・分化を調べた。この条件では、2つの組織が直接接触することはない。その結果、脈絡膜存在下では色素上皮細胞が脱分化し、一部はニューロン分化した。 2)色素上皮と脈絡膜の器官培養にFGFシグナル阻害剤を投与すると、ニューロン分化のうち特定の形質(syntaxin)の発現が抑制されたが、Acetylated tubulin陽性のニューロンはほとんど影響を受けなかった。 3)色素上皮シートの培養にFGFとIGF-1を添加して効果を調べたところ、FGF単独に比べ、両方を同時に添加した場合、増殖、ニューロン分化に対する効果が5倍以上になった。 以上のことから、イモリの網膜再生には、脈絡膜由来の拡散性の分子が重要であること、FGFやIGF-1がその候補の可能性があることが示された。今後、実際の眼の中でこれらの分子の遺伝子発現について研究することによってより詳細な分子メカニズムが明らかになるであろう。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ikegami Y, Mitsuda S, Araki M: "Neural cell differentiation from retinal pigment epithelial cells of the newt : An organ culture model for the urodele retinal regeneration"Journal of Neurobiology. 50. 209-220 (2002)
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[Publications] Araki M et al.: "Epithelia-mesenchyme interaction plays an essential role in transdifferentiation of retinal pigment epithelium of silver mutant quail : Localization of FGF and related molecules and aberrant migration pattern of neural crest cells during eye rudiment formation"Developmental Biology. 244. 358-371 (2002)
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[Publications] Uemonsa T et al.: "Development of dorsal-ventral polarity in the optic vesicle studied by embryonic transplantation and in ovo culture"Developmental Biology. 248. 319-330 (2002)
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[Publications] Shimauchi Y et al.: "Role of tissue interaction between pineal primordium and neighboring tissues in avian pineal morphogenesis studied by intraocular transplantation"Development Gene and Evolution. 212. 319-329 (2002)
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[Publications] 荒木正介, 右衛門佐知子, 池上陽子: "網膜の発生と再生に結合組織(間葉組織)はいかなる役割をもつか"モレキュラーメディシン. 39. 38-46 (2002)