2001 Fiscal Year Annual Research Report
来談行動の規定因研究:カウンセラー要因とクライエント要因の交互作用の検討
Project/Area Number |
13710054
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
織田 信男 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (80250645)
|
Keywords | 来談行動 / 言語的行動 / 非言語的行動 / 状態不安 / STAI / ディスクレパンシー |
Research Abstract |
カウンセラーへの来談や印象を規定する要因として、カウンセラー側の要因とクライエント側の要因をとりあげ2つの仮説を検討した。カウンセラー側要因としてはカウンセラーが示す言語的行動と非言語的行動の不一致条件(言語優位条件VS非言語優位条件)を、クライエント側の要因としてはクライエントの不安条件(高群VS低群)を操作した。仮説1は、不安の高い人は低い人に比べて、高次の情報処理を要する言語行動よりも低次の情報処理ですむ非言語行動を重視し、逆に不安の低い人は高い人に比べて、低次の情報処理を要する非言語行動よりも高次の情報処理を要する言語行動のほうを重視するであろう。仮説2は、面接回数が増えれば不安が小さくなり、高次の情報処理も可能となるので言語優位の評定をするであろう。手続きとして、80名の被験者を4つの条件群にランダムに配置した。教示の後、血圧や心拍を測定し、コンピュータで作成したベースライン用のカウンセリング場面のビデオテープ(否定的言語・否定的非言語条件)を2回呈示し、さらに、不一致条件のいずれかのビデオテープを2回呈示した。 結果は、不一致条件と不安条件の交互作用は認められなかったが、非言語優位条件よりも言語優位条件のほうが来談意図や紹介意図を有意に高く評定する結果となった。これは不安の操作がベースライン段階で有効であったにもかかわらず、不一致条件の呈示段階で操作が弱まり、結果的に状態不安が中程度になってしまったために、ある程度落ち着いた状態で情報処理を行った結果、言語優位になったものと考えられる。仮説2に関しては、面接回数が1回目よりも2回目のほうが、来談意図や紹介意図評定に及ぼす言語優位を示唆する結果となった。
|